
左:塚本氏 右:柿沼知美氏(アルケア)
アルケア株式会社は10日、東京都墨田区の第2曳舟オフィスで、0歳~5歳の小児患者を対象にした末梢静脈カテーテル(PIVC)固定キット「フィックスキット・PV小児」のメディア向け発表会を開いた。山王病院NICU副部長の塚本桂子氏とアルケアの開発担当者らが、製品の狙いと開発経緯などを説明した。
小児の点滴治療では、末梢静脈カテーテル(いわゆる点滴)の固定と保持が重要な課題となっている。成人のように前腕からの穿刺ではなく、手の甲に穿刺することになり、小児特有の体動の多さや皮膚の脆弱さ、体格の小ささから、汎用テープを使った固定は容易ではなく、職人技的な技術が必要になる。例えば、汎用テープを切ったり貼ったりするやり方では、通常8分の処置が1時間かかることもあるという。また、固定が不十分だと薬液の血管外漏出や針、カテーテルの事故抜去が起きて、再穿刺が必要となり、小児に身体的、精神的苦痛を与えてしまう。これは医療者にとっても精神的な負担となる。一方で、汎用テープを重ね貼りして強く固定すると、剥がすときに皮膚を損傷したり、刺入部の観察ができなくなり、皮膚トラブルの兆候を把握しづらくなる。したがって、小児用の製品には高い固定力とともに剥がしやすさという相反する粘着性が求められる。
新製品は、こうした現場の課題を踏まえ、両面粘着のベーステープやクッション材を採用し、透明な窓部を設けることで、固定力と皮膚への配慮、刺入部の観察性を両立させた。サイズも小児の手に合わせた約3センチ×4センチのコンパクトな設計とし、穿刺部の視認性の確保にも配慮した。また、必要な材料を一つにまとめたキットとし、職人技がなくても固定可能な、手技の標準化と準備時間の短縮につなげた。
塚本氏は、「点滴は、小児医療の現場では非常によく使われる。そして成人の場合と違って、小児の場合はこの一本が命に関わる。この一本があることで命を救える」と述べ、点滴の重要性を強調した。そのうえで、意図しない抜去や血管外漏出による再穿刺を減らすことが、小児の苦痛軽減や医療者のストレス軽減にもつながるとしている。
塚本氏は、点滴の漏れや抜去を防ぎたいとの思いから、学会の企業展示ブースなどを回り、小児向け専用品の必要性を訴えてきたという。しかし、既存製品は成人向けが中心で、サイズや材質の面で小児には適するものはなく、市場規模の小ささもあって開発を計画する企業もなかった。そんな中でアルケアがこの思いに応え、塚本氏が当時所属していた国立成育医療研究センターの看護師らも協力して開発がスタートした。
アルケアは、(1)褥瘡・創傷領域、(2)看護領域、(3)ストーマ領域、(4)整形外科領域で事業を展開しているが、「フィックスキット・PV小児」は、看護領域の製品である。クラス分類は一般医療機器で、一般的名称は「カテーテル被覆・保護材」。1キットは、ベーステープとフィルムドレッシング、ライン固定テープ小と大、補強テープという構成。1函入数30セット、ケース入数16函。メーカー希望小売価格は9600円+消費税。19日(金)から発売となる。

固定した様子

赤岩裕士氏(アルケア)による固定デモ

手前が成人用固定キット、後方が試作品など
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