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2007年問題と創薬の推進

2006年1月23日 (月)

 21世紀に入って、はや6年が経過した。もはや新世紀という浮かれた気分もなくなり、種々の現実的な課題が浮き彫りになってきている。産業界にとって最も大きな問題の一つが、団塊の世代が大量に定年を迎える「2007年問題」である。1999年から2000年に代わる際には、コンピュータなどシステムの問題がクローズアップされ、各企業ともハードウエアの対応に万全を期して切り抜けた。それに対して2007年問題は、ことが人材に関わるだけに、一朝一夕に解決できる方策は見えてこない。

 2007年からは、団塊の世代が次々に職場から姿を消し始める。企業戦士として、長年にわたって会社の発展に貢献してきた世代の社員が、一挙に退職することは、企業にとっては退職金など財政上の問題ばかりでなく、技術やノウハウの継承という面からも、非常に大きな課題を抱えることになる。

 「団塊の世代」とは、作家の堺屋太一氏が命名した言葉で、第二次大戦後、数年間に生まれた年代、具体的には1947年から51年頃に生まれたベビーブーム世代を指す。その47年に生まれた人が60歳となって定年を迎えるのが、2007年ということだ。07年からの数年間は、毎年多くの退職者が出てくる。

 製薬業界では今までも大手企業を中心に、再編あるいは社内の体制変更等により、比較的多くの退職者が出ている。そうした人たちが国内の中小企業に再就職したり、外資系企業に雇用されるケースは少なくない。

 創薬という事業は、もちろん研究開発が根幹だが、薬を育てるという観点からは、完成した医薬品を販売することも重要である。そのいずれの面でも、ベテランから若手にノウハウがしっかり引き継がれていくことが、企業の継続的発展につながる。

 現に大手企業の退職者を迎えた中小企業では、ウイークポイントが補充改善され、社員の資質向上に大きな効果が現れている。大手企業のアウトソーシングが増えている現在、中小企業にとって社員のレベルアップは不可欠。「合理的な体制・マニュアルを整えれば、ベテランの知識やノウハウは必要ない」ということは、少なくとも医薬品業界では考えにくい。

 一方で、最近脚光を浴びているものにバイオベンチャーがある。米国に比べてまだまだ劣っている日本のバイオベンチャー企業では、実務的な人材がいないことが欠けている部分の一つだ。大学関係者など研究者はいても、企業としての視点を持つ人材に乏しく、そこがベンチャー企業として成長しきれない一つの要因とも指摘されている。「人材こそが欧米に対抗できる日本企業の宝」という意見もあり、創薬でも研究者の優秀な力を最大限に引き出すような業界環境が必要になろう。

 大手企業から居場所がないと言われた人でも、中小企業には能力を生かす余地が十分あるし、ベンチャー企業で指導的な役割を果たすこともできる。そうした人材こそが、日本の創薬を欧米と比肩できる水準へ引き上げる推進力になるだろう。実際に欧米でバイオベンチャーが発展した裏には、大手企業の合併やリストラによる余剰人員が、大量に流れ込んだ背景があると聞くし、ベンチャー側もそのような人材を求めているようだ。

 日本の創薬を発展させるには、優秀な人材を埋もれさせることなく、才能を遺憾なく発揮させるような体制が必要になる。それは単に大企業だけの問題ではなく、創薬に関わる全ての企業・機関が、一致して取り組むべき課題であろう。再編やリストラとは比較にならないほど、多くの退職者が出てくる2007年。今からその人材活用を考えておくべきではないか。




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