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医工連携から医工融合時代へ

2006年2月1日 (水)

 元医薬品企業法務研究会会長の加藤義男氏が先月3日に亡くなられた。同研究会の創成期を支えた人で、田辺製薬の法務部門で活躍された。法学では弁護士はだしの知識を有する。薬学出身で法律も学び、さらに無線など機械が大好きで、趣味と実益を兼ねて、未来医学会の副会長も務めた。その講演で聞き慣れない“予防法学”を論じていたのが、今も記憶に残る。

 故・加藤氏は、薬・法・工融合の頭脳を持ち、第二の人生においても、薬局や臨床工学技士養成校の顧問として活躍されたばかりでなく、国際交流も積極的に進められた。

 時は、医工連携から医工融合へと移ろうとしている。東大では、これまで進めてきた医工連携をさらに深めるため、大規模な垣根を取り払う組織体制作りを進めている。

 特に注目するのは教育体制で、医学系・工学系大学院生の相互乗り入れが始まっている。工学の頭脳に医の心を持たせる、和魂洋才ならぬ医魂工才、その反対の工魂医才を育てようということだ。海外大学でのサマースクール、国内大手メーカーに出向いた実習も組まれている。

 乗り込んでいって実際を知る、ここでも国際連携、産学連携を超えた国際融合、産学融合が目指されている。一大学の試みと思われるかもしれないが、最近の先進大学のチャレンジは驚くばかりで、大学発ベンチャーが活発化しているのも、この流れの一つと捉えるべきだろう。

 東大の医工連携はさらに枠組みを広げて、ナノバイオ分野研究の統合を目指した研究拠点を昨年誕生させている。もちろん薬学、創薬もこの中に融け込んでいる。

 このような流れの中で、行政も動き出した。改正薬事法への対応で忙殺され、既存のレギュレーション・ガイドライン整備に追われるばかりでは、グローバル時代に対応できないとして、医療機器分野であるが、厚生労働省と経済産業省が手を結んだ取り組みが昨年末から始まっている。次世代医療機器の研究開発、すなわち最先端医療機器開発を促進させ、早期に製品へと引き上げるための評価指標策定事業を共同で行おうというものだ。

 医療機器というと画像診断装置や人工心臓など、大型装置を思い浮かべがちかもしれないが、テーマを示すと、[1]ナビゲーション医療[2]リポソーム等のデリバリーシステム[3]体内埋め込み型能動型材料[4]体内埋め込み型能動型機器[5]再生医療――である。要するに“機械”だけの世界ではなく、医薬に隣接あるいは融合した領域を多く含んでおり、“細胞組織医療機器”なども出現している。

 この取り組みに対する厚労省側の先導役は、国立医薬品食品衛生研究所療品部である。国立衛研は明治初期の司薬場の時代から、医薬品産業の誕生と成長を支援してきた。さらにレギュラトリーサイエンスを日本に導入し、行政に科学の光を当てることでも、主導的な役割を果たした。新時代における技術融合的な先端研究開発――時代を超えて、ここでも国立衛研が先導的役割を演じるものと確信、期待する。




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