染色剤大手のホーユーは24日、クラシエグループの普通株式の60%を3投資ファンドから取得すると発表した。残り40%の株式についても3年以内に取得する。ホーユーは、ヘアカラー製品以外に、クラシエの日用品・医薬品・食品の豊富な製品群を獲得することで、さらなる成長機会が得られると判断。3投資ファンドから株式を取得し、クラシエの買収に踏み切った。取得金額は非公表。今後、ホーユーは、両社の事業シナジーで成長を加速させると共に、新クラシエの価値最大化を目指していく考えだ。
ホーユーは、一般消費用ヘアカラー市場の約40%を占める国内トップメーカー。ただ、ヘアカラー市場は成熟期を迎えていることから、新たな製品領域に進出することが急務と判断。さらなる成長機会を模索してきた。一方、産業再生機構に続き、クラシエグループの経営再建を支援してきた3投資ファンドは、クラシエホールディングス、クラシエホームプロダクツ、クラシエ製薬、クラシエフーズのグループが将来に向けた成長を目指す段階に入ったとして、ホーユーへの株式譲渡を決めた。
今回の買収を受け、ホーユーは「クラシエ」ブランドを引き続き維持する方針。漢方薬、OTC医薬品などの医薬品、日用品、食品など、新たな製品ラインナップを獲得することで、ホーユーの海外拠点・代理店を活用した販売拡大を目指す。薬品事業では、クラシエの製薬技術、開発力を化粧品やヘアカラー製品に応用すると共に、ドラッグストアなどにおける売上拡大を狙い、シナジー効果を追求する。
都内で記者会見したホーユーの水野新平社長は、「クラシエの枠組みを維持しつつ、ホーユーとの連携で潜在的な成長力を引き出したい」と強調。効率的な物流・調達・生産体制を構築することで、消費財メーカーを取り巻く環境変化に対応していく考えを示した。
クラシエホールディングスの石橋康哉社長は、「これまで苦しいこともあったが、新たなステージを迎えることができた。ホーユーの力を借りて、クラシエグループとして事業に全力を尽くしたい」と語った。
今後、両社は、事業シナジー検討チーム(仮称)を立ち上げ、バリュチェーンの共同利用、マーケティング活動の協働などに着手する方針。インターネットを利用したダイレクトマーケティングなど、新規事業にも取り組む。