“政治主導”の試金石に
足立信也厚生労働大臣政務官は28日、10月1日で任期切れとなる中央社会保険医療協議会人事について、自ら素案を作成する考えを明らかにした。診療、支払の両側それぞれ7人枠のうち、診療側は6人、支払側は2人が任期満了を迎える。次回30日の診療報酬基本問題小委員会の後は、事実上、新たな委員を決定するまで中医協開催は難しく、人選が長引けば、診療報酬改定や薬価制度改革の議論にも影響を及ぼす可能性もある。
中医協委員の任命権は、厚生労働大臣にあるため、中医協の見直しをマニフェストに掲げる民主党政権にとって、政治主導の政策決定を試す試金石となる。
足立氏は、同日の政務3役会議終了後、記者団に対し、中医協人事の対応に言及し、「まず、私の方で委員の方の評価、変更になった後の影響を調査する」と発言。最長3期6年のルールに該当する健康保険組合の対馬忠明氏を除き、他の委員については,再任の可能性を含めて、候補の選定段階から政治主導で作業を進める意向を示した。
ただ、かつて批判された団体推薦の仕組みはないものの、中医協の設置根拠となる社会保険医療協議会法では、委員任命の際、診療側については「地域医療の担い手を適切に代表し得ると認められる者」、支払側については「医療に要する費用を支払う者の立場を適切に代表し得ると認められる者」の意見を、それぞれ配慮することが定められている。そのため、政務3役が、どこまで裁量を持って、従来と異なる判断ができるか不透明な部分もある。
さらに足立氏は、日本医師会所属委員の人選について、「これから素案を考える段階で、それを意識した考えをまとめる場合と、そうではない場合も含めて考える」と、含みを持たせた。
任期満了を迎える委員は次の各氏。
▽診療側=竹嶋康弘(日本医師会副会長)、藤原淳(同常任理事)、中川俊男(同)、西澤寛俊(全日本病院協会会長)、邉見公雄(全国公私病院連盟副会長)、山本信夫(日本薬剤師会副会長)
▽支払側=対馬忠明(健康保険組合連合会専務理事)、高橋健二(全日本海員組合中央執行委員)