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医薬業界に3つのプレッシャー

2006年12月25日 (月)

 ▽(薬価の)頻回改定▽イノベーション▽ジェネリック――今年の医薬産業界でよく取り上げられたキーワードだ。これらは眺める立場によって、先行きの明るさに期待を抱かせたり、逆に暗さを暗示させたりする。

 医薬産業の主役である新薬メーカーからみると、これら三つのキーワードは、全体的には中期的に見て厳しい状況を迎えることを示唆していると思う。医薬産業が政府の進める経済成長戦略の旗手であることは確かだが、その追い風が全ての企業に吹くわけではない。風に乗れる企業はあるだろうが、揺さぶられる企業も出てこよう。2007年は、そんな淘汰が始まる年になると考える。

 いま、医薬品部門全体の株価は、予想以上に良いといわれる。来年は薬価改定がなく、業界全体の業績は上向くと見られてもいる。淘汰の年とはおかしいと思うだろう。

 しかし、各社の業績を見る限り、4月に実施された平均6・7%もの薬価改定による国内事業への打撃は、相当に大きなものがあった。しかも、それ以上に構造的な打撃を感じる。特に中堅企業でだ。

 日本製薬工業協会がまとめた会員会社(東証1部上場)の中間決算概況によると、営業利益は平均で5・1%減少した。上位13社は平均水準なのに対し、それ以下の15社は8・1%も減らしている。

 それら15社の場合は、改定による粗利の伸びの低さが影響しているといえるが、販促のための費用を抑えるだけでなく、将来への投資である研究開発費まで控える傾向がある。それでもなお吸収しきれずに、営業利益を大きく減少させてしまった結果に、中堅企業の体力の衰えを見た思いがした。各年によって特殊要因による変動はあるものの、この傾向は近年の流れだ。

 そういう状況の中で、業界が強く反対している「頻回改定」は、20日、正式に見送りが決まった。だが、業界にとっての「リスク」が、先延ばしされただけとの見方もできる。

 市場実勢価主義に基づく現行制度の下では、改定までの2年間に生じる薬価差を放置してはおけないと、頻回改定を主張する側の理屈は立ち、現実味のある検討課題であり続ける。頻回改定が実施されるとなれば、体力を落とし気味の企業には、追い打ちとなる恐れがある。

 それだけに、安倍政権が打ち出した「イノベーション」による経済成長路線に、明るい光を感じてしまう。実際、医薬は重点戦略領域の一つである。しかしイノベーションとは、医薬の世界では有用性の高い新薬の創出を意味する。

 その流れで中期的な薬価制度の見直し方向を考えると、有用性・画期性の高い新薬をより高く評価し、その原資を生み出すために、それ以外のものには水準以下の評価、そして特許切れ後は「ジェネリック」(GE)でという方向が、一層強まると思われる。

 政府の強力なGE使用促進策は、その方向を見据えた取り組みといえ、イノベーションとGEは裏腹の関係にある。大手も含め、新薬創出が滞っている企業には、厳しい現実が待っているといえる。

 冒頭の三つのキーワードは、言い換えれば三つのプレッシャーだ。大変革を好まず、常に数年後の姿を描きながら、一つずつ駒を打ってくる行政の手法を考えると、08年度改革のための議論でどこまで進むかだけでなく、その先の改革論議も見据え、三つのプレッシャーを跳ね返す事業戦略・展開を、用意しておく必要がある。




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