厚生労働省は来年度から、新たな後発品の使用促進策として、市町村国保が行っている「先発品と後発品の自己負担の差額通知サービス」を支援する事業を始める。
市町村国保では、生活習慣病などで長期に先発品を服用している被保険者を対象に、後発品に切り替えた場合の、治療費の差額を通知するサービスを行っている。しかし、後発品の品質に対する懸念が十分に払拭されていない中で、被保険者に後発品使用を間接的に求めることに批判もあり、思うように進んでいないのが現状。
5月に保険局国民健康保険課が全国の都道府県を通じて、サービスの実施状況を調べた結果では、10都道府県、42市町村にとどまっていた。
そのため厚労省では、都道府県が主体となって、県内にある複数の保険者をモデル的に選定し、差額通知サービスが進むよう、環境を整備したい考えだ。
後発品の使用促進をめぐっては、積極的に後発品を採用している地域の中核病院薬剤部の後発品採用基準や、薬剤部が作成した採用リストを、同じ地域内の保険薬局と共有する事業を今年度から開始している。
また、都道府県や薬局などが取り組んでいる、先進的な後発品使用促進策のうち、効果的と判断される事例を調査・分析し、今後の使用促進に役立てる事業もスタートさせているが、これらの施策は引き続き継続する。
政府は、医療費抑制や患者の自己負担軽減のため、2012年度中に、後発品の数量シェアを30%以上へ引き上げる目標を掲げているが、依然として20%をわずかに超える程度にとどまっている。あと2年間でシェアを10%増やす必要があり、目標達成は困難になりつつある。
こうした状況を受け厚労省は、追加的な促進策を打ち出すこととした。