日本新薬は、癌疼痛治療剤「トラマールカプセル25mg、同50mg」(一般名:トラマドール塩酸塩)を新発売した。非オピオイド鎮痛薬で治療困難な、軽度から中等度の癌疼痛を改善する。
国内では通常、軽度の癌疼痛には非オピオイド鎮痛薬を用い、さらに痛みが強くなればモルヒネなど麻薬性のオピオイド鎮痛薬が追加で用いられる。非麻薬性のオピオイド鎮痛薬という特徴を持つ同剤は、非オピオイド鎮痛薬と麻薬性のオピオイド鎮痛薬との間をつなぐ、新たな癌疼痛治療剤の選択肢の一つ。
トラマールカプセルは、オピオイド受容体作動作用、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用、セロトニン再取り込み阻害作用という“トリプルアクション”によって、鎮痛効果を示す。モルヒネに比べ便秘などの副作用は少ないほか、麻薬製剤特有の管理は不要。1日4回服用する。
世界では、既に100カ国以上で販売されている。同成分の注射薬は、2003年に国内発売済み。
同剤の適応を、今回の癌性疼痛から慢性非癌性疼痛へと拡大すべく同社は、国内で臨床開発を進めている。今年6月に第II相臨床試験を終了。今年度中に第III相臨床試験を開始する予定だ。
このほか、1日1回投与で済む同成分の経口持続性鎮痛剤「NS‐24」の第I相臨床試験を、10年度中に開始する計画。
薬価は、25mg1カプセル37・70円、50mg1カプセル65・90円。