
メダルと共に会頭を引き継ぎ、あいさつする西島正弘新会頭
日本薬学会の2011年度代議員総会が3月31日、東京渋谷の長井記念館で開かれ、新会頭に西島正弘氏(前国立医薬品食品衛生研究所所長)が就任した。任期は2年。また、2010年度決算案が承認されたほか、11年度の事業計画、予算も報告された。新会頭の西島氏は、中止になった日本薬学会第131年会の組織委員会に対し、これまでの努力に謝辞を述べた。さらに、今後の薬学会の方向性として、「日本薬剤師会、日本病院薬剤師会など関連団体と合同の“薬学総会”開催にメドをつけたい」との意向を示した。
総会は当初、第131年会初日の3月28日に、静岡市で開催予定だったが、東日本大震災を受けて年会開催が中止になったことから、会場を長井記念館に移して開催された。薬学会にとって、公益社団法人化後、初の総会となる。
役員改選では会頭に西島氏が就任したほか、副会頭に赤池昭紀(京都大学大学院薬学研究科教授)、富岡清(京都大学大学院薬学研究科教授)の両氏が、2年間の任期を務めることになった。また、松田彰氏(北海道大学大学院薬学研究院教授)が任期1年で、第132年会組織委員長として承認された。
西島氏は就任あいさつで、第131年会が中止になったことに関し、奥直人氏をはじめとする年会組織委員会の取り組みを労うと共に、これまでの準備に対し謝辞を述べた。その上で、「2年間という従来に比べ長い任期を生かし、長期的な視点で学会運営に取り組みたい」との方針を語った。
学会運営については、「松木則夫前会頭が本当に精力的に取り組まれ、数々の新しい取り組みが行われた。松木氏が掲げた施策のうち、実行されていない部分を、1年目にはぜひ実行したい」と、従来の基本路線を引き継ぐ姿勢を示した。
さらに、医療薬学分野の進展を踏まえ、日薬や日病薬など関連団体との連携を深化させていく方針を示した。特に、両団体や日本医療薬学会などを含めた形で、「薬学総会」を3~4年に1回のペースで開催する構想を掲げ、「2~3年後に実現したい」とした。
一方、薬学教育の関係では、「今年度は薬学6年制の第1期生が巣立っていく。大いに期待している。ただ、6年制により教員が多忙となり、学生も研究に割く時間が減り、研究活動が停滞気味になっていると聞く。6年制においても研究が活発になるよう、会員に協力をお願いしたい」と、大学における研究推進の必要性を指摘した。
新年度事業としては、▽「薬学教育委員会」の設置▽グローバル化への対応▽「オール薬学」としての他学会との連携--など、九つの柱を掲げた。
薬学教育委員会は、薬学教育改革大学人会議が発展的に解消したことから設置するもので、6年制薬学部での大学院教育など、薬学教育のあり方について積極的に提言を行うほか、コアカリキュラムの改訂や薬剤師生涯研修にも取り組む。
また、薬剤師生涯研修、医療薬学コンテンツの充実を支援するなど、関係職能団体との連携強化、生涯研修における役割も担っていく。