
握手を交わす旧知の中村氏(左)と熊倉氏
シミックとメディパルホールディングスは21日、オーファンドラッグを中心とした新たなビジネスモデル構築を目指して、合弁会社「オーファンパシフィック」設立を決めた。代表者は未定で、資本金は1億円(出資比率シミック51%、メディパル49%)、来年6月に設立予定。シミックの中村和男社長は、「両社の機能をそれぞれ使って、収益が出せる効率的なモデルを構築したい。事業のプラットフォームができれば、製薬企業からの受託も可能になる。今後も製薬企業が手がけないオーファンドラッグの開発を進めていきたい」と、新たなビジネス展開に意欲を示した。
メディパルHDの熊倉貞武社長は、同社が卸の新たな収益を創出するビジネスモデルPFM(プロジェクト・ファイナンス&マーケット)を展開していることを紹介すると共に、MR資格を持った独自の営業職であるAR(アシスト・リプリゼンタティブス)は、このビジネスモデルを前提に作ったもので、「今のコストでMR、MS活動ができる」と他社にない強みを強調した。
新会社の事業目的は、[1]新しい医薬品開発・流通モデルの構築[2]業務分担の最適化、外部リソースの最大活用[3]他社からの販売受託ビジネス――となっている。シミックグループは、ライセンス業務、開発(治験)業務、製造販売承認取得業務、製造業務を、メディパルグループは販売業務、流通管理業務、市販後調査業務を、オーファンパシフィックは製造販売承認の維持管理業務、製造販売薬事業務、営業販売管理業務をそれぞれ委受託することになる。
当面はオーファンドラッグを中心として、開発、流通、販売業務に関する外部リソースを最大限に活用して事業を進め、将来はオーファンドラッグの新たなビジネスモデルとして、他社からの販売受託事業につなげていく計画だ。
日本での患者数5万人以下のオーファンドラッグ事業は、とかく収益性が問題として指摘されるが、特に患者が1000人以下のウルトラオーファンドラッグに対しては、行政の支援強化の流れもあることを示した上で、両社は「十分に収益を出せる」と、新たなビジネスモデル構築に自信を見せている。
また、オーファンドラッグを開発する意義について両氏とも、「社会貢献の一環」としたほか、開発ノウハウの蓄積と、ロイヤリティビジネスとしての事業性追求も挙げている。