日本の将来を大きく左右する国会が24日から始まった。メインの論戦は何と言っても税と社会保障の一体改革である。日本国民は愚かではないので、消費税率を上げなければ将来的には社会保障制度が維持できないばかりか、早晩、制度が崩壊する事態が現実に起こり得ることを知っている。
政権側は、消費税のアップ分を全額社会保障へ補てんすると明言しているが、過去に税率を3%から5%へアップさせる時にも、そのような説明をしていた記憶がある。実際にはどうなったかなど語る必要もないだろう。 ある政治家は、「今回は本当に危ない状況にある」と話しているようだが、この期に及んで泣き言を言って何とか説得しようという態度では、制度設計してきた官僚も含めて、国家百年の計を任せるには、あまりにも危機感が希薄で頼りない限りだ。
さらに、TPPという荒波も打ち寄せる。医療、年金、介護などの社会保障制度をはじめ、民間への影響も見えない現状では、まずは公的な保険本体を強固なものとしておかねばなるまい。
そうであるならば、税と社会保障の議論は大いに結構なことだが、初めに増税ありきという姿勢が、多くの国民に嫌悪感を抱かせている。まずは自らの身を切るということで、国会議員や国家公務員の定数削減構想も見え隠れするが、どうも本当に実行する気概は感じられない。
23日に東大地震研のある教授が、特定の計算方法によって4年以内に70%の確率でM7級の首都直下型地震が発生するという結果を発表して警鐘を鳴らした。計算結果がもし的中したら、大正以来の大地震が首都圏を直撃することになり、東日本大震災というよりも阪神淡路大震災タイプの被災が想定される。数千万人の人口と国家中枢機能が集中する首都圏で直下型を喰らったら、津波はないだろうが、被災レベルは東日本大震災とはある意味において比べものにならないことが容易に考えられる。
その時に、安全な避難場所へ辿り着けるのか、避難所などで水や食糧は確保できるのか、医療は機能するのか、医薬品は届くのか、国民の不安は大きく膨らむことだろう。
東日本大震災とは大きく異なるタイプの被災に関して、国と民間が一丸となって危機管理を詰めておくことは当然であり、これまでの経験・教訓を踏まえて、あらゆる事態を想定した万全の準備を早急に整えておくことが求められている。
社会保障の改革や震災、パンデミックなど有事への対応いかんでは、日本の将来を決めてしまうほどのインパクトを持っているが、悲観しても始まらない。日本国民が強いことは世界中が知っている。それに携わる関係者は皆、本当に正念場であることを自覚して取り組まなければならない。