厚生労働省は17日付で新薬12成分21品目を薬価収載する。このうち内用が6成分13品目、注射が4成分6品目、外用が2成分2品目で、中央社会保険医療協議会が11日の総会で了承した。レストレスレッグス症候群治療薬「レグナイト」など3成分に原価計算方式を適用し、初のヒト型抗RANKLモノクローナル抗体「ランマーク」など3成分には類似薬効比較方式で有用性加算を上乗せする。また、HIV感染症の多剤併用療法に併せて投与する「サムチレール」を新薬の14日処方制限から除外する。
▽ルネスタ錠(エーザイ)=ラセミ体のゾピクロンから活性の強いS体のみを光学分割したエスゾピクロンを有効成分とする不眠症治療薬。アステラス製薬のマイスリー(有効成分:ゾルピデム)を比較薬として類似薬効比較方式IIで算定した。
▽エビリファイOD錠(大塚製薬)=統合失調症治療薬のアリピプラゾールの錠剤をOD錠化して、新たに「双極性障害における躁症状の改善」の適応を追加した。既存の錠剤と同薬価とし、新用量の24mg錠のみ規格間調整で算定した。
▽レグナイト錠(アステラス製薬)=ガバペンチン・エナカルビルを有効成分とする特発性レストレスレッグス症候群治療薬。抗てんかん薬「ガバペンチン」のプロドラッグ製剤。原価計算方式で算定した。市場規模予測はピーク時の10年目で12万人、38億円。
▽アジルバ錠(武田薬品)=アジルサルタンを有効成分とするアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)。第一三共のオルメテック(有効成分:オルメサルタン)を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。代表的ARBのブロプレス(有効成分:カンデサルタン)との比較で血圧降下作用に統計的な有意差が検証されている点を評価して、有用性加算II5%を付けた。
▽イグザレルト錠(バイエル薬品)=リバーロキサバンを有効成分とする経口抗凝固薬。非弁膜症性心房細動患者の虚血性脳卒中や全身性塞栓症の発症抑制に用いる。日本ベーリンガーインゲルハイムのプラザキサカプセル(有効成分:ダビガトラン)を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。
▽サムチレール内用懸濁液(グラクソ・スミスクライン)=アトバコンを有効成分とするニューモシスチス肺炎治療薬。原価計算方式で算定した。市場規模予測はピーク時の10年目で924人、2・5億円。
▽ボナロン点滴静注バッグ(帝人ファーマ)=アレンドロン酸ナトリウムを有効成分とする国内初の点滴投与型の骨粗鬆症治療薬。同一成分で経口薬のボナロン錠を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。
有用性加算も3成分に
▽ランマーク皮下注(第一三共)=デノスマブを有効成分とする骨病変治療薬。破骨細胞の形成に必須の蛋白質「RANKL」をターゲットとする完全ヒト型モノクローナル抗体。ノバルティスファーマのゾメタ点滴静注用(有効成分:ゾレドロン酸)を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。初回の骨関連事象が発現するまでの期間をゾメタと比べて有意に遅延させたことなどが、米国総合癌センターネットワークのガイドラインで評価されていることから、有用性加算II5%を上乗せした。
▽カンサイダス点滴静注用(MSD)=カスポファンギン酢酸塩を有効成分とする抗真菌薬。アステラス製薬のファンガード点滴用(有効成分:ミカファンギンナトリウム)を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。海外ガイドラインの位置づけなどから、第一選択薬となり得ることを評価して有用性加算II5%を付け、さらに外国平均価格調整によって、上限となる算定値の2倍まで引き上げた。
▽オキファスト注(塩野義製薬)=オキシコドン塩酸塩を有効成分とする癌疼痛治療薬。同一成分で経口薬のオキシコンチン錠を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。在宅自己注射を認めると共に、在宅悪性腫瘍患者指導管理料などの算定対象にも加える。
▽エムラクリーム(佐藤製薬)=リドカインと新有効成分のプロピトカインを配合した局所麻酔薬。皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に用いる。原価計算方式で算定した。市場規模予測はピーク時の3年目で8万人、7億円。
▽アイファガン点眼液(千寿製薬)=ブリモニジン酒石酸塩を有効成分とする緑内障・高眼圧症治療剤。日本アルコンのエイゾプト懸濁性点眼液(有効成分:ブリンゾラミド)を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。