理化学研究所(野依良治理事長)と順天堂(小川秀興理事長)は4月26日付で、包括的な連携・協力に向けた基本協定を締結した。年内に順天堂大学内に臨床研究推進部を立ち上げ、人材交流を行いながら共同研究を進める。当面のテーマには診療科横断的な癌バイオマーカーの探索が挙がっており、遺伝子解析結果を含めたサンプル情報を統合したデータセンターの構築にも取り組む。
同日の調印後には両理事長が会見した。
小川氏は「シーズを生み出す研究サイドに臨床ニーズが十分に伝わらないため、医薬品・医療機器の実用化に結びついていない。協定が現状打破のブレークスルーになることを期待すると」と述べた。
野依氏は「理研は自然科学に関する国内唯一の総合研究所との自負があるが、公的な存在として、よりイノベーションの創出に寄与しなければならない」とした上で、「基礎研究だけでなく、医療上のニーズをとらえていく必要がある。医療に変革をもたらし、社会に貢献したと言える成果が出ると信じている」と語った。