佐藤製薬は、口唇ヘルペスの再発治療薬「アラセナS」シリーズから、ベタつかず目立たないクリーム剤の「アラセナSクリーム」(第1類医薬品)を9日に新発売した。同品は、持田製薬が医療用医薬品で「帯状疱疹、単純疱疹」での適応を持つ、ビダラビンを有効成分とした抗ウイルス剤「アラセナ‐Aクリーム3%」を、OTC医薬品として開発した口唇ヘルペスの再発治療薬。2009年から軟膏タイプの「アラセナS」を発売しており、新たにクリームタイプを加えて、症状に合わせて選べる二つのラインナップとなった。
アラセナSシリーズには、医療用で使用されている「アラセナ‐A軟膏3%」「アラセナ‐Aクリーム3%」と同じ濃度の有効成分(抗ヘルペスウイルス成分)ビダラビンを配合している。ビダラビンは口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスの増殖を抑え、口唇ヘルペスの症状を軽減する働きがあり、医療用の局所性抗ウイルス剤市場でトップの売上シェアを有する。
単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状は治まっても、頭部にある三叉神経節という太い神経の集まっている箇所にもぐり込み、棲み着いている。普段は活発に活動することができず、神経節にジッとしていて症状も現れない。しかし発熱、疲労、ストレス、月経、紫外線などの刺激で体の抵抗力が落ちると、単純ヘルペスウイルスは再活性化し、増殖したウイルスは神経細胞の中を通って唇やその周りに移動し、水疱などを発症する。
アラセナSシリーズは、口唇ヘルペスの再発治療薬として、ピリピリ・チクチクといった再発の前駆症状から、赤み・水ぶくれ・痛みなど発症期の症状や回復期の症状まで、7日~2週間程度の口唇ヘルペスの各段階のどこからでも使用できる。1日1~4回の使用で優れた効果を表し、特に早期の使用で治療までの期間を短くできる。
基剤にワセリンを使用した「アラセナS」は、刺激が少なく、唇周辺の患部を保護する働きが強いことで、しっかり保護して治したい人や、肌が敏感な人に使用されてきた。
新発売の「アラセナSクリーム」は、クリーム基剤で、塗った後に目立ちにくく、ベトつきが少ないのが特徴で、特にメイクをする人、肌のてかりが気になる人、人と接する職業の人などに使いやすい製品。税込み希望小売価格は、2g1418円。
口唇ヘルペスは一度感染すると再発を繰り返す病気で、人によっては年間に数回再発することもある。同社の調査(対象200人)では、口唇ヘルペス経験者の多く(6割強)が「軟膏とクリームの両方があるといい」というように、基剤を選べることを望んでいた。「アラセナS」シリーズは二つの基剤が揃ったことで、患部の状態や症状の度合い、痛みの有無、ライフスタイルで選ぶことが可能となった。
同社では「引き続き店舗での情報提供のためのツールや、薬剤師向けの説明会の実施など、適正使用のための支援も充実していく」とする。