ユーロフィンと相乗効果狙う
ユーロフィンパンラブスは、台湾で40年の歴史を持ち、医薬品開発の探索・薬理領域に強いCROだ。薬理試験での早期プロファイリング技術を武器に成長を遂げ、2012年10月には欧州の分析大手「ユーロフィン」のグループ会社として新たなスタートを切った。鄭逢吉総経理は、「製薬企業に対し、創薬のワンストップサービスを提案できるCROを目指す」と語った。
同社は40年前に、米ブリストル社からスピンアウトし、「パンラブス研究所」として事業を開始。その後、MDSパンラブス、MDSファーマサービス、リセルカバイオサイエンスと社名を変更。昨年から、ユーロフィンがリセルカの薬理部門を統合し、ユーロフィンパンラブスとなった。
鄭氏は、「40年間で大きな変化があったが、台湾を事業拠点に安定した成長を遂げてきた」と振り返る。パンラブス研究所では自社による安定した管理、米国を本拠とするMDSの傘下に入ってから、グローバル経営の考え方を学んだ。その後、様々な企業文化を融合させながら、CROとして順調に歩みを続けている。
台湾に100人と米シアトルに50人の研究者を擁し、探索研究に特化している。世界各国のトップの研究者と交流を進めながらバイオマーカー探索を行う。シアトルのラボと密接に連携し、外部から情報収集を強化。事業環境の変化の中で、グローバルで対抗できる自社技術を高めていった。
台湾ラボでは、標的蛋白質に活性の高いヒット化合物を絞り込んだ後、酵素・受容体・細胞・組織と小動物の動物モデルの両方に対応した試験を実施し、早期段階で薬効や毒性、選択性などを評価、候補化合物への絞り込みを行っている。
鄭氏は、「数百種類にも及ぶ多様な試験により、早期プロファイリングを評価し、安全性研究の面から製薬企業が探索した創薬標的が妥当であるかを検証する」と述べた上で、「早期プロファイリング試験の結果は、IND申請にも安全性データの補充資料として活用でき、日本の信頼性基準にも合っている」との考えを示した。
さらに、試験から結果提示まで5~10日と短期間で実施できるスピードへの評価も高く、世界トップ50の製薬企業のうち、約40社と取引実績がある。特にリピートオーダーが増えている傾向だ。
グローバルスタンダードのサービスを日本市場に投入していく。品質基準としてISO9001と17025を取得し、品質の良さを訴求する。
特にユーロフィングループに加わったことで、顧客層やサービス面で相乗効果が期待できる。鄭氏は、「ユーロフィンは毎年約20社を合併しており、強固な事業基盤を持っている。探索からGLP試験、臨床試験までワンストップで総合的なサービスを提案していきたい」と述べる。
台湾政府から、「従業員を幸せにする企業」に選ばれた。「40年の歴史を大事にしながら、持続的に成長していきたい」と鄭氏。パンラブスの専門性と、ユーロフィンの総合力を組み合わせ、さらなる発展を誓う。
この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年1月1日特集号‐時の話題‐に掲載された記事です。