バイオシミラーで受託実績
TPGバイオロジクスは、バイオ医薬品製造の初期段階に特化した受託研究サービスを提供している。哺乳類の動物細胞や大腸菌等の微生物を培養し、安定した品質で短期間のうちに量産化する技術に加え、細胞株を改良して創薬標的に対する活性を高め、薬効改善につなげる。既にバイオシミラーで数件の受託実績があり、順調に成長している。陳佩君副総経理は、「製薬企業の探索研究で協業できるようにしたい」と話している。
同社は2007年に、台湾製薬大手の台湾東洋薬品工業の出身者が投資会社を通じて設立した。陳氏は、「研究開発のターゲットが低分子医薬からバイオ医薬にシフトしているが、細胞培養など対応できる技術やコストで問題を抱えている。バイオ医薬にチャレンジする製薬企業に対して、問題解決につながるサービスを提案したい」と話す。
TPGが手がけるサービスでは、蛋白製剤や抗体医薬の設計、遺伝子組み換え技術による細胞株の創出、製造プロセス開発、生物製剤のフィジビリティ試験や動物試験のための小スケール製造などに高い専門性を持っている。
具体的には、製薬企業から受け取った動物細胞や微生物を培養し、安定した品質で細胞株を量産化することができる。また、動物産生抗体からヒト化抗体に改良したり、溶けにくい物性を改善して溶けやすくしたり、標的に対する活性を高め、薬効の向上や効き目を長くし、製剤の付加価値を高める。
その後は、提携するマイセナックスバイオテックがcGMPスケールで量産化し、両社でバイオ医薬品製造の初期段階から治験薬製造までワンストップでサービスを提供できるようになった。
バイオシミラーの細胞株生産受託では、成果が生まれている。台湾と欧州の製薬企業、昨年11月には日本の製薬企業から受託した。一方、自社開発にも取り組んでおり、バイオシミラーでプロジェクトが走っている。関心を示す製薬企業があれば、アライランスを検討している。
さらに、上流部分の探索研究に事業領域を広げ、研究開発力を強化する方向性を示した。陳氏は、「われわれが先端的な分野にチャレンジしていく必要がある」と述べ、高い専門性を持つアカデミアやベンチャー企業との提携による創薬研究に意欲を示す。
地理的な近さを生かし、日本の製薬企業のパートナーとして支援を強化していく。日本総代理店のリブラメディシーナを仲介して、2件の案件を受託し、技術的な面で委託先から高い評価を受けている。
陳氏は、「バイオ医薬の薬事規制は日本と欧米で似ており、欧州メーカーと協業実績のあるわれわれの経験が生かせる」と強調。TPGサービスの認知度向上に向け、「この2年で成果が上がってきており、経験を通じて日本の顧客ニーズも理解してきた。われわれのサービスを知っていただけるようプロモーションも強化していきたい」と積極的な姿勢を示した。
この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年1月1日特集号‐時の話題‐に掲載された記事です。