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薬剤師取り巻く課題、あとは行動

2014年1月31日 (金)

 日本学術会議薬学委員会の「チーム医療における薬剤師の職能とキャリアパス分科会」が薬剤師職能に関する提言をまとめた。提言は、医療専門職としての倫理観の涵養と自律の確立を求めつつ、地域医療で薬局薬剤師がプライマリケアに関与する必要性や病棟薬剤師の完全配置、薬学6年制学部教育における臨床系教員、専門薬剤師制度の問題点等を挙げており、いま薬剤師を取り巻く課題がほぼ網羅された内容と言える。

 特に地域で薬剤師が専門性を生かしてチーム医療に参加し、薬物療法の担い手として医療を提供するのみならず、健康増進、保健・福祉にかかわることが極めて重要と、積極的な地域活動を促している。

 薬局薬剤師による健康相談機能も注目を集めているとし、臨床検査機器の自己測定結果を評価するサービスを提供したり、一般用医薬品(OTC薬)を取り扱う薬局を挙げ、的確な臨床判断能力の必要性を強調している。

 これは、今後の薬局薬剤師にとってカギになるポイントであり、厚生労働省の2014年度予算案でも、新規事業として「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進」に2億3900万円を計上。セルフメディケーション推進に向けた拠点整備や在宅医療に関するモデル事業を全国47都道府県で実施する。

 ただ、薬剤師の地域医療への貢献は、以前から求められてきたところで、それがOTC薬の販売や健康相談機能の発揮であったわけだが、裏返して言えば、これまで地域での役割を十分に果たせてこなかったという見方もできる。かつて機能していた地域薬局として、原点回帰が求められている中、ある意味で当然果たすべき職能に対し、国の予算まで付いた。これをどう考えるかだ。

 また、病院薬剤師については、「病棟への薬剤師の完全配置を進め、チーム医療を拡充、発展させることが必須」と指摘している。

 薬学6年制教育をめぐっては、臨床系教員の約半数が全く実務に携わっていないことを課題に挙げ、「医療施設との連携を通して、最新の薬物治療と臨床に触れる機会を維持し、薬剤師としての感性を磨くことが重要」と研鑽を求めたほか、専門薬剤師制度についても「何らかの標準化や質の担保の明確化が必要」と提言している。

 臨床マインドと研究マインドを持った薬剤師の養成、卒後教育、初期研修の整備や生涯教育制度の確立等も不可欠としている。

 これらは全て、少なくとも従来から指摘されてきた内容ばかりであり、今回の提言により、薬剤師職能を取り巻く課題については、ほとんど出揃ったと言えるだろう。あとは実際の日々の活動で結果を残すしかない。

 どれだけ「私たちは頑張っている」と主張しようとも、社会を説得させるだけの結果を残し、薬剤師職能に対して理解が得られなければ意味がない。そのことはOTC薬のネット販売をめぐる騒動で明らかになっている。今回の提言を、その大きな試金石としたい。




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