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ジェネリック医薬品の使用促進、自治体レベルで活発に

2007年06月20日 (水)

 いささか旧聞に属するが昨年公表された2006年度日本薬剤師会行政薬剤部会の薬事業務等に関する調査の中に「ジェネリック医薬品の普及促進」に関する各都道府県での取り組み状況に関する実態調査があった。

 調査では、ジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進を「検討している」は8都道府県、「検討していない」は34道府県、「実施している」は5県だった。また、「検討していない」中で、近い将来検討する「予定がある」は6県、「予定していない」が27道県、未定が1府だった。検討していない理由として16府県が「行政主導で行うべきではない」との回答だった。

 この調査は、昨年4月の診療報酬改定による処方せん様式変更後から4カ月を経過した8月に実施されたもので、地方行政レベルでは、どのような意識にあったのかを知る上では非常に興味深い調査だった。

 これまでにも後発医薬品使用促進事業などを進める自治体は少なからずあった。例えば富山県は04年度から独自のGE薬使用促進事業に着手。05年度に県下の関係者らで構成する利用促進協議会で検討・研究を進め、06年度に「公的病院間共通のGE薬採用基準」を作成、その成果を全国に紹介するため協議会報告書を含めた「ジェネリック医薬品採用マニュアル」として発刊、県内医療機関に配布した。

 富山県の場合、GE薬を製造販売するメーカーが多く拠点を構えるなど、地場産業振興策としての意味合いもあり、行政サイドとしては進めやすかった背景はあろう。同様にGEメーカーを地場に持つ滋賀県でも、03年度に県立病院を含む県下の公的医療機関に対して、「県内製造業者が製造する後発医薬品の使用促進」を依頼する文書を出し、同県業者が製造するGE薬の使用促進へ特段の配慮を求めた。同県でも昨年度の実態調査を経て、今年度も引き続き重点事業として後発医薬品の使用促進を打ち出している。

 一方で、医療費抑制手法として使用促進を検討する自治体もある。福岡県では、老人1人当たりの医療費が全国1位という課題を抱え、その削減を検討する段階で、GE薬の使用促進が浮上。昨年度には県下での使用実態調査を実施。今年度から使用促進に向けた事業を3カ年計画で実施していく方針にある。同事業では、流通段階にある製品をピックアップし、国の指定検査機関で溶出試験を行い、測定結果の報告を求めるなど、画期的取り組みもある。

 市町村レベルでも同様だ。今年5月、茨城県の常陸太田市では、国民健康保険被保険者約1万2000世帯に、「ジェネリック医薬品希望カード」を作成・配布した。同市国民健康保険が給付する医療費などが増加し、既に一般会計からの繰入金増加で対応するなど、逼迫した財政状況が背景にあり、同市の医療費の約12%を占める調剤費縮小を図ることにしている。既に三師会とも協議の上で、医療機関へのポスターも作成、同市近隣病院にも協力を要請しているという。

 GE薬使用促進策は、今後の薬価基準制度の見直し議論や、後期高齢者医療制度の枠組みの中で、焦点が集まってくるだろう。一方で、市町村、自治体レベルでの財政難が言われる現状では、こうした行政主導のGE薬使用促進は今後も浮上すると見られる。製・配に加え病院、薬局、そして行政の各レベルで、早急なGE薬供給体制の整備が必要だ。



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