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【2015年年頭所感】医薬品流通の標準化を目指して‐薬卸連会長

2015年01月08日 (木)

日本医薬品卸売業連合会会長 鈴木賢

鈴木賢氏

 昨年の年頭所感で、「流通改革の定着に向けて」と題し流通改革への理解を深めると共に、流通改革の定着への取り組みをお願いいたしました。特に昨年は、薬価改定、消費税の増税対応、未妥結減算ルール導入など、対応しなければならない課題が多くあり、さらには、新薬創出等加算制度の試行、後発品の使用促進といったことから、カテゴリーチェンジが急速に進展し、業界環境、市場構造が大きな転換期を迎えた年となりました。

 今年もわれわれの業界を取り巻く環境の変化は続いていくこととなりそうです。

 薬価の毎年改定については現在進行形で議論が進んでいます。ご承知のとおり、薬価は2年ごとに診療報酬改定と同時に改定されておりますが、増え続ける医療費の削減を図るため、財務省を中心に薬価調査を毎年行い、タイムリーに市場実勢価格を反映した薬価にすべきという主張がなされております。

 医薬品卸にとって、毎年改定は多大なコストと労力を要して過大な負担を強いられることになります。例えば、価格交渉を常に行う必要が出るなど、MSの通常業務に支障が生じる恐れがあります。その上、薬価がさらに下がることを見越した価格交渉がなされることによって、マーケットメカニズムが歪められることも危倶されます。さらには、公定価格である薬価は診療報酬と表裏一体の関係にあり、薬価改定も診療報酬改定と同時に行われるべきと考えます。

 日本医薬品卸売業連合会としては、関連団体がこぞって反対する中で、毎年改定を前提とした薬価調査には協力できないとの声明を取りまとめ、日本薬業政治連盟と連携して会長・副会長で40人ほどの国会議員を訪問して、理解を求め、6月24日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2014」において、「市場実勢価格を適正に反映できるよう、薬価調査・薬価改定のあり方について、診療報酬本体への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討する」とされました。薬卸連としては、薬価の毎年改定の影響を踏まえて反対姿勢を貫いていきます。

 このほか、医薬品の物流機能の強化と質の向上についても、さらに努力を継続する必要性があるものと思っています。「日本の医薬品卸ならでは」と世界に誇れる物流網のさらなる整備を、国民の健康のためにも推進していくことが必要なのではないかと感じています。

 日本全国津々浦々、全ての国民に安心できる医療を保証する、国民皆保険制度に貢献すべく毛細血管型物流を充実させると共に、大規模災害、非常時にも医薬品の安定供給を絶えさせない強靭な物流網の整備によって、われわれは社会に貢献していくことに義務を負っているものと思っています。

 また、国民の保健衛生を担う医薬品卸売業に課せられたコンプライアンスについての国民に負う責任も重大であることを自覚した上で、流通の質をさらに向上させることも流通改革の一部なのではないかと思います。

 以上述べたようなことを真摯に、着実に行うこと、そしてわれわれは社会インフラの一翼を担う存在であることをしっかりと自覚し、流通改革を通して業界に身を置く全員が誇りを持って仕事ができる業界としていきたいと考えております。



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