アストラゼネカ(AZ)日本法人は、2020年までに抗癌剤6製品の上市を目標として掲げている中、国内で安全性情報管理体制を強化する。その足がかりとして、抗癌剤「イレッサ」など既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)に薬剤耐性を持つ非小細胞肺癌患者を対象に承認を取得した新規抗癌剤「タグリッソ」に関して、間質性肺疾患(ILD)などの副作用情報をグローバルで共有する管理システムを稼働させた。オンコロジービジネス日本代表の益尾憲氏は本紙のインタビューに応じ、安全性管理システムでの収集・解析を通じて、「(ILDなどの)副作用の原因論に迫りたい」と強調。各部門が常に安全性情報を把握し、迅速な情報提供を行うことで、抗癌剤における副作用の早期発見・対応に結びつける。
「イレッサの問題で多くのことを学んだ」と益尾氏は振り返る。イレッサをめぐっては、AZが2002年に世界に先駆けて日本で承認されたが、販売直後から副作用のILDで死亡する患者が続出し、訴訟問題に発展した。AZは添付文書に「重篤な副作用」として記載していたが、最も強い「警告欄」での注意喚起を行わなかったため、裁判ではILDの注意喚起が十分であったかなどが争点となった。最終的には最高裁判所が患者遺族側の上告を退ける判決を言い渡し、国とAZの全面勝訴で幕を閉じたが、抗癌剤の副作用の問題が表面化した形となった。
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