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有意義な薬局薬剤師の病院研修

2017年6月2日 (金)

 薬局薬剤師を受け入れて研修を行う病院が各地で散見されるようになってきた。薬局薬剤師の資質向上につながる動きとして高く評価したい。

 がん領域では国立がん研究センター東病院が、薬局薬剤師を対象に、がん薬物療法への高度な専門性を有する薬剤師養成を目的とした研修を今年1月から開始した。研修生はレジメン管理や患者指導、緩和ケア、注射剤調製など3カ月の実務研修や各種講義を履修する。

 藤田保健衛生大学病院も今年3月から、研修委託契約を交わしたアインメディオの薬局薬剤師2人を受け入れて研修を開始。週1回の研修を5年間継続し、日本医療薬学会認定のがん専門薬剤師を育成する計画だ。

 がん領域以外でも同様の動きがある。京都桂病院は今年1月から、地域の薬局薬剤師を受け入れて6カ月間の研修を実施している。研修生は実務を通じて処方監査やミキシング、医薬品情報の検索、医療安全業務を修得。各種チームの回診にも同行し、実症例をもとに薬学的管理の実践に取り組んでいる。

 滋賀医科大学病院も今春まで2年間、薬局薬剤師を対象に栄養管理、緩和ケアの2コースについて2日間の短期研修を実施。多数の薬局薬剤師が同院で研鑽を積んだ。

 このほか日本調剤は、大学病院と連携した実務研修制度を数年前から実施している。

 こうした動きの背景には、病院中心の入院を主軸とした医療から、在宅も含めて地域全体で患者を支える医療への転換がある。その実現には、地域医療連携の強化や、地域医療で役割を果たす医療従事者の育成が欠かせない。薬局薬剤師は、日常業務では十分に学べない知識や手技、経験を病院研修で補完することで、薬学的管理を実践しやすくなる。病院側も安心して退院患者の医療を委ねられる。

 大学卒業後、病院勤務を経ずに薬局に就職した薬剤師の臨床経験不足が、以前から課題として指摘されてきた。京都桂病院で研修中の薬局薬剤師は「薬局では処方意図を想像するしかなかったが、研修によって病態と症状、薬のつながりが分かるようになった」と語る。この課題をいかに解決するのか、改めて考える必要がある。

 薬学生の実務実習を拡充するのは難しい。卒後研修の充実が焦点になる。病院などで薬剤師として働きながら1~3年程度の研修を受ける薬剤師レジデント制度を広めて、社会的な制度としての確立を目指すのは方向性の一つだ。

 各病院で始まった薬局薬剤師の研修受け入れを広げることも重要だ。ただ、研修にマンパワーを割く病院側のメリットは小さいように思える。病院側にも魅力ある仕組みにすべく、知恵が求められる。1人薬剤師の薬局でも履修可能な研修メニューを設けたり、研修内容の共有化や標準化を進め各地で実施しやすいようにしたりするなど、様々な工夫も必要になるだろう。




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