薬剤師、管理栄養士の多くが資格取得
保健機能食品やサプリメントについて消費者に正しい情報を提供し、消費者が適切に利用できるようアドバイスできる資格として「NR・サプリメントアドバイザー」がある。この専門的人材の育成・教育を行っているのが、一般社団法人日本臨床栄養協会(小沼富男理事長)が運営する日本サプリメントアドバイザー認定機構(東京目黒区)で、医師・薬剤師・管理栄養士をはじめ多くの医療関連職種が、国民の健康の維持・増進に貢献すべく認定を受けている。
サプリメントアドバイザーは厚生労働省が発したガイドラインにより設けられた資格で、日本臨床栄養協会では2001年9月にこの専門家の養成を図るため、日本サプリメントアドバイザー認定機構を立ち上げた。その後12年4月からは国立健康・栄養研究所が養成する栄養情報担当者(NR)事業が日本臨床栄養協会に移管統合され、新たな統合資格「NR・サプリメントアドバイザー」となり、現在に至っている。
認定機構では、NR・サプリメントアドバイザーの質の確保および向上を図るために、認定試験制度と更新制度(更新は5年ごとに実施)により認定を行う。認定のための教育内容は、NR・サプリメントアドバイザーの役割と倫理、基礎の生理学、基礎の生化学、人間栄養学、生活習慣病概論、臨床栄養と臨床検査、身体活動と栄養、食品安全衛生学、健康食品、臨床薬理学、食品機能の科学的根拠、行動科学とカウンセリング、国内外の関連法規(食品の健康表示と安全性)――で、インターネットを活用したオンデマンド方式による通信教育方法を採用している。
資格認定の流れは、まず日本臨床栄養協会に入会し、通信教育「NR・サプリメントアドバイザー講座」の受講、日本臨床栄養協会学術大会(大連合大会)への参加、公認テキストの活用などで、研修単位(40単位)の取得を目指す。そして年1回の認定試験(12月第1土曜日)を受験し、合格すると「NR・サプリメントアドバイザー」認定証・認定カードが授与される。
NR・サプリメントアドバイザーは医療関連の有資格者も多く会員として登録しており、最近は「特に薬剤師の会員が増えている」(事務局)という。資格更新(単位取得)のための各種研修会、セミナー等も随時開催しているが、中でも注目される行事として年2回開催している「NR・サプリメントアドバイザー交流研修会」がある。生活者に正しく情報提供のできるNR・サプリメントアドバイザーを目指すことを目的として実施しているもので、具体的事例に参加者同士が考えを出し合い、講師も交えて相互の意見交換などを行う。
日本臨床栄養協会評議員・情報部素材情報室室員を務め、自らも薬剤師でNR・サプリメントアドバイザーの須田良和氏は「交流研修会では医師、薬剤師、管理栄養士、栄養士など異なる専門職種の会員たちと接し、アドバイザーとしての悩みや日々の活動内容を知ることができる。得るものは非常に大きい」とする。今年4月に行われた第10回の交流研修会では、参加者が妊婦・授乳婦、小児の親、高齢者、ポリ特保の人(いろいろな特定保健用食品を併用している人)の役を演じ、6グループに分かれてロールプレイ、ディスカッションを展開した。今年10月には第11回の交流研修会が予定されている。
近年、消費者の健康志向が一層高まりを見せる中で、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品など様々な製品が市場に流通している。サプリメントや健康食品に関する情報も氾濫しており、自分の目的に合った製品を選択し、適切に摂取する重要性が高まっている。「しっかりした専門知識を身につけておかないと、十分な応対が難しくなってきた。消費者に正しく情報提供のできるNR・サプリメントアドバイザーの存在、役割は今後一層増してくる」(須田氏)として、認定機構では今春から同制度の紹介用ポスター〔写真〕やPOPを作成し、店頭や職場への掲示を促すことで普及に努めている。
一般社団法人 日本臨床栄養協会
日本サプリメントアドバイザー認定機構
http://www.jcna.jp/