臨床開発・研究向けのITソリューション大手の米メディデータは、治験に参加する被験者がウェアラブル機器やスマートフォンアプリを用いて、医療機関以外のオフィスや自宅といった場所からでも臨床試験に参加できる“バーチャル臨床試験”のデザインに対応したITプラットフォームの提供を開始した。従来は被験者が医療機関に来院し、そこで実施した観察や検査データをもとに開発薬の有効性・安全性を検討していたが、IoT(モノのインターネット化)などの技術革新により、患者が装着したウェアラブル機器を通じて、医療機関外の場所にいても、脈拍や血圧などのデータ収集が可能になっている。同社では、従来の医療機関来院型のみならず、医療機関外でも実施可能な臨床試験を組み合わせた治験デザインを支援し、データの質向上や被験者確保、治験コストの削減に役立てたい考え。
メディデータでは、インターネット経由で治験データを収集するEDCシステム「Rave」などを包括した臨床開発向け総合プラットフォーム「メディデータ・クリニカルクラウド」を製薬企業向けに提供し、臨床試験デザインから計画、実行、管理、報告まで臨床試験プロセスの最適化を支援してきた。臨床試験をめぐっては、紙ベースでのデータ収集・解析から電子化・自動化が進んでいるが、治験の難易度が増し、治験実施計画(プロトコル)の複雑化や決められた期間内に十分な被験者を確保できないといった課題に直面している。また、有効性・安全性データを解析する上で医療機関来院時以外でデータを収集する必要性や、患者視点から被験者が来院する負担軽減を図るため、バーチャル臨床試験の検討が進んできている。
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