埼玉県のものづくり企業が医療分野に異業種参入し、イノベーションを生み出している。八潮市に本社を置く「寿技研」だ。金型・プレス加工やラジコンタイヤの受注型下請け仕事が本業だったが、2008年のリーマンブラザーズ破たんによる“リーマンショック”で仕事が激減。そんな逆境に直面し、腹腔鏡トレーニング機器や動物臓器を代替する手術訓練用の模擬臓器モデルの開発へと勝負に出た結果、医師からの高評価を獲得し、売上が一気に拡大した。高山成一郎社長は、医療分野では新参者だが、「4年間で数百人の医師と話し、数十人とお付き合いして人間関係を構築し、ニーズを把握することができた」と顧客との対話から実用化できたとし、「医療機器の小さなマーケットには大企業の先行者がいない。中小企業でも先行者になれる」と強調。意思決定が早く、小回りが利く中小企業の優位性を訴える。
寿技研は、2012年まで金型・プレス加工、機械加工、ラジコンタイヤ、自動機制作など全て受注の下請け仕事を行ってきた。88年と95年のミニ四駆ブームで最高売上を更新するも、リーマンショックが直撃。「技術を持っておらず、受注ではなく自社製品を持たなければ生き残れないと痛感した」(高山氏)とし、医療分野への参入を決めた。
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