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大型連休も感染症に細心の注意を

2018年04月27日 (金)

 今年も大型連休シーズンに突入する。5月1、2日を休めば4月28日から5月6日までの9連休が可能だ。一般的にはゴールデンウィークと呼ばれているが、そもそもは映画業界の宣伝用語であることから、NHKだけは放送法の関係から大型連休という表現を用いている。

 連休中は海外へ旅行する人たちも多いだろうが、国によってはテロや犯罪発生率の高い地域もあるので注意が必要である。さらに、より注意を必要とするのが感染症だ。何と言っても相手は人間でなく見えないウイルスである。

 厚生労働省のホームページには、「ゴールデンウィークにおける海外での感染症予防について」をアップしている。まずは、感染症予防のポイントとして、[1]海外で感染症に罹らないようにするために、感染症に対する正しい知識と予防に関する方法を身につけよう[2]渡航先や渡航先での行動によって異なるが、最も感染の可能性が高いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症である[3]日本で発生していない、動物や蚊・マダニなどが媒介する病気が海外では流行していることがあり注意が必要[4]世界保健機関が排除、根絶を目指している麻疹(はしか)、風疹、ポリオは、日本での患者は減少傾向か発生していないものの、海外では感染することがあり注意が必要――を挙げている。

 海外で注意すべき感染症としては、蚊・マダニなどが媒介するマラリア、デング熱、デング出血熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、黄熱、ウエストナイル熱・ウエストナイル脳炎、クリミア・コンゴ出血熱、ペストを、動物から移る感染症では鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)、狂犬病、中東呼吸器症候群(MERS/マーズ)を、その他諸外国で注意すべき感染症では麻疹、風疹、ポリオ、ラッサ熱を例示して、それぞれ発生地域、感染経路、主な症状、感染経路などを解説している。

 感染症対策が必要なのは、海外へ旅行する人たちだけではない。3月以降、沖縄県で麻疹患者が増えている。国立感染症研究所感染症疫学センターの報告によれば4月19日現在、患者数は65例を数えている。センターでは、「麻疹は麻疹含有ワクチン(麻疹単抗原(単味)ワクチン、麻疹風疹金剛ワクチン(MRワクチン)の接種によって予防可能な疾患である。定期接種対象者は接種対象期間になったら速やかに接種を受けることが重要である」と訴えた上で、3月17日以降に沖縄に行った人は麻疹ウイルスの曝露を受けた可能性があるとして、発熱を認めた場合は医療機関の受診を勧めている。

 大型連休などに向け、麻疹患者が報告されている国や地域に旅行を予定している人に対して、ワクチン接種歴を確認するよう訴えている。

 楽しいはずの連休が感染症との闘病とならぬよう、正しい情報に基づく適切な行動を心掛けることが大切である。



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