1999年6月に設立された日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は現在、設立20周年目を迎えている。今年6月1日から来年6月30日までを「20周年記念事業期間」と設定し、JACDSの発展に寄与してきたドラッグストアMD研究会や日本医薬品登録販売者協会などの関係団体と共催で、JACDS会員が参加可能な記念事業には『JACDS20周年記念事業』の冠をつけて実施していく考えだ。
20周年事業は、JACDSの事業推進委員会(貴島浩史委員長)事業として展開されるが、既に決定している主な事業は、▽薬剤師フォーラムの開催▽コンシェルジュマスター制度の普及推進事業▽受診勧奨ガイドラインの作成および普及事業▽ドラッグストア戦略プロジェクトの設置と推進(食と健康、電子タグ研究、管理栄養士の活用)▽個店とチェーンドラッグとの連携事業▽第19回JAPANドラッグストアショーの開催――など。
様々な事業が挙がっているが、注目される一つに「薬剤師フォーラム」がある。JACDSの薬剤師フォーラムは2006年2月に初めて開催され、これまでに5回開催されている。直近の第5回(14年9月)は、薬剤師国家試験の合格率の低さがきっかけとなり、薬科大学・薬学部とドラッグストアが交流を密にすることで、薬剤師が活躍できる環境づくりに取り組んでいく必要性などを共有した。
今回、約4年ぶりに開催される「薬剤師フォーラム」では、薬科大学・薬学部、薬剤師、ドラッグストアの現在と将来を明らかにし、今後の課題を明確にすることが狙いになるという。
今後、調剤シェア拡大を目指すドラッグストア業界において、薬剤師の確保は不可欠だ。同フォーラムが薬科大学等とドラッグストアの連携を深め、ドラッグストアの持つ可能性や薬剤師としての力を発揮できる職場であることへの理解が深まる場となることが期待される。
このように、今年6月からを20周年記念事業期間としたJACDSだが、その矢先に大きな衝撃が走った。JACDS設立時からその類い希なる行動力等で組織を牽引してきた宗像守事務総長が6月26日に急逝したのだ。突然の出来事に池野隆光JACDS副会長は「誰も予想しないことが起きた」とし、根津孝一氏(JACDS執行委員長)は「何でそんなに早く逝ってしまったのか」と悔やんだ。
一方で池野副会長が「事業を停滞させてはならない」とも述べたように、7月17日には新事務総長に今西信幸氏の就任が発表された。就任会見で今西氏は、患者等のために薬業を考えた宗像氏を「同志」と語り、宗像氏の考え方等を踏襲していくとした。
宗像氏が思い描いた“10兆円産業化”をはじめとするドラッグストアの将来像。そこへ向け、20周年記念事業も含めて取り組み、進んでいくJACDSおよびドラッグストア業界を注目し続けたい。