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製薬大手のバイオ医薬品開発に期待

2008年6月6日 (金)

 昨年末から今春にかけて武田薬品、第一三共、アステラス、エーザイの国内大手製薬企業4社が相次いで海外のバイオ企業を買収した。国内大手製薬企業が海外展開する主力品の特許切れが集中する“2010年問題”への、起死回生の一手として打って出たものだ。

 各社主力品の米国での特許切れ時期をみると、武田薬品の消化性潰瘍治療剤「タケプロン」が09年11月、糖尿病治療薬「アクトス」が11年1月、第一三共の合成抗菌剤「クラビット」が10年12月、アステラスの免疫抑制剤「プログラフ」が今年4月、排尿障害治療剤「ハルナール」が09年10月、エーザイのアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」が10年11月、消化性潰瘍治療剤「パリエット」が13年5月だ。

 これらの世界戦略製品は、それぞれの製薬企業の屋台骨を支えてきただけに、特許切れが各社の業績に与えるダメージは計り知れないものがある。その上、既存の世界戦略製品に代わる新製品の研究開発の遅れも加わり、より一層深刻な影を落としている。

 そこで、各社が打ち出してきたのが、低分子医薬品に比べ開発期間が短くて済み、癌、リウマチ、アトピーなどアンメットニーズの高い疾患領域の治療を可能とするバイオ医薬品創出に向けての海外バイオベンチャーの買収だ。低分子医薬品創出は、ほぼ出尽くした感が否めず、各社の戦略は妥当と見るべきだろう。

 国内製薬企業の海外バイオ関連企業買収を時系列にみると、まず昨年11月27日にアステラス製薬が癌領域の抗体医薬を専門とする米国アジェンシスを約400億円で買収すると発表した。続いて同年12月10日、今度はエーザイが癌領域に強いMGIファーマを約4300億円で買収することを明らかにした。

 今年に入ってからは、2月に武田薬品が米バイオ医薬品大手のアムジェンの日本買収や国内での製品販売契約(300億円)を締結。米国アムジェンが保有する国内での製品販売契約は、癌、炎症、疼痛などの疾患領域にわたる。さらに、4月10日には米バイオ医薬品企業ミレニアムの買収を発表、5月14日にTOB成立を報告した。ミレニアム買収に投じた費用は約9000億円にも上るという。

 その後、5月21日には、第一三共が癌領域と抗体医薬の強化を目的に約245億円を投じて、独バイオ企業「U3ファーマAG」を買収する発表を行っている。

 4社の中でも、特に大きな投資を行ったのは武田薬品とエーザイだ。武田薬品の長谷川閑史社長はミレニアム買収を「同社の営業販売力、開発力、生産委託先のCMCコントロールを一挙に手にした」と高く自己評価し、「20年には、癌領域で世界トップ3入りを目指す」と言い切る。 エーザイの内藤晴夫社長も「08年度は、MGIファーマの売上貢献で、癌領域で750億円程度のビジネスが期待できる」と強い自信を示している。

 一方で、武田のミレニアム、エーザイのMGIファーマ買収に対する市場の反応は鈍く、両社の株価は低迷を続けている。いずれも巨額の投資に見合った成果を得られるのかを危惧する声が強いからだ。市場関係者の間では、新薬候補のシーズやテクノロジーだけでなく、相手の従業員や資産を丸ごと買ったリスクが指摘されている。

 とはいえ、バイオ医薬品企業買収の投資を回避して、このまま手を拱いていたのでは、日本の製薬産業は衰退の一途を辿るしかないだろう。各社の英断を温かく見守り、日本の製薬企業からアンメットニーズの高い新薬が登場し、世界の治療現場で貢献することを期待したい。




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