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「食育」の推進に薬系も一考を

2008年06月11日 (水)

 厚生労働省が先に発表した2006年「国民健康・栄養調査」によれば、糖尿病の該当者と予備軍は約1080万人に上っており、97年時点に比べて約500万人、02年からも約250万人増えている計算で、増加の一途を辿っている。最近では食生活の乱れに起因する、若年層の生活習慣病も増えているそうで、食事や栄養に関する正しい知識の普及が急務となっている。

 内閣府はこのほど、食育に関する意識調査を報告書にまとめた。今年2月から3月にかけて、全国の20歳以上の3000人を対象に調査したもので、有効回収数は1745人。食育に関する意識は、昨年3月にも調査(有効回収数1831人)しており、前回調査と比べて、いくつかの特徴的な点も見られる。

 「食育」の周知度だが、「言葉も意味も知っていた」は41・0%(前回は33・9%)、「言葉は知っていたが、意味は知らなかった」が33・0%(31・3%)、「言葉も意味も知らなかった」が26・0%(34・8%)と、この1年間で食育という言葉が浸透してきたことが分かる。

 食育への関心度では、「関心がある」が39・0%、「どちらかといえば関心がある」が36・1%で、これらを合わせると75・1%の人が「関心がある」ことになる。前回調査では「関心がある」とした人は69・5%で、こちらも着実に関心度が高まっているのが分かる。

 このほか、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の認知度では、「言葉も意味もよく知っていた」が58・5%、「言葉も知っていたし、意味も大体知っていた」が29・1、「言葉は知っていたが、意味はあまり知らなかった」が6・9%、「言葉は知っていたが、意味は知らなかった」が1・7%であり、ともかく「言葉を知っていた」という人は96・2%に達する。前回は91・8%であり、認知度はさらに高まった格好だが、中でも「言葉も意味もよく知っていた」人(前回47・4%)が大きく増加しているのが目立つ。

 その一方で、メタボリックシンドロームの予防や改善のために適切な食事、あるいは定期的な運動を継続的に実践しているかとなると、「時々気をつけているが、継続的ではない」が31・7%、「現在はしていないが、近いうちにしようと思っている」が14・2%、「現在していないし、しようとも思わない」が19・8%というように、『分かってはいるけれど……』という人が多いのも実態である。

 国は毎月19日を「食育の日」、そして毎年6月を「食育月間」として定めており、まさに今月は食育月間として食育の一層の定着を図るため、各種広報媒体やイベント等を通じた啓発活動が展開される。

 健全な食生活の実践、食文化を含む望ましい食習慣や知識の習得、適切な栄養バランスなどについて、今や食品類の取り扱いが当たり前となりつつあるドラッグストアとして、食育推進に一役買ってみてはと提案したい。

 生活習慣病対策の商材を集めた売り場、食品コーナーなどで食育推進を啓発する。売り上げには直結せずとも、地道な情報提供の努力は必ずや信頼性に結びつくと思うが、どうだろうか。

 前記調査では食に関する情報の入手先として、マスメディアが多くを占めたが、ぜひドラッグストアも情報源の一つとして加わってもらいたいと思う。



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