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厚生労働省保険局は2007年度に医療保険と公費から支払われた医療費(概算医療費)を公表した。それによると、07年度の概算医療費は33.4兆円で、前年度より約1兆円(3.1%)増加した。このうち、調剤医療費は前年度より8.9%(0.5兆円)伸びて5.2兆円と5兆円を突破。概算医療費に占める割合も0.9ポイント増の15.5%となった。07年度は診療(調剤)報酬改定がなかったため、医療費全体、調剤医療費ともに伸び率が大きくなった上に、調剤医療費は院外処方の普及が後押しした。
概算医療費は、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会での審査分を集計(公費医療含む)したもので、統計情報部がまとめる「国民医療費」の98%をカバーする。
07年度の概算医療費は、診療報酬改定がなかった05年度と同程度の3.1%増で、厚労省は304%といわれる自然増の範囲内と分析している。増加した大きな要因としては、70歳以上の高齢者の医療費増が75%を占めたことが挙げられている。
概算医療費33.4兆円の内訳は、70歳未満の患者(現役)は17.4兆円(1.2%増)に対し、高齢者は14.5兆円(5.4%増)。1人当たり医療費は現役が16.1万円に対し高齢者は75.7万円と、約5倍の開きがあるのは従来と同様だった。
一方、診療行為別に見ると、医科、歯科は全体の平均以下の伸び率だったのに対し、薬局での調剤医療費は9%近い伸びを示した。具体的には医科入院13.4兆円(2.8%増)、医科入院外12.4兆円(1.8%増)、歯科2.5兆円(0.2%減)に対し、調剤は5.2兆円(8.9%増)となった。
受診延日数は全体で0.9%減で、医科、歯科とも1%前後減少したのに対し、調剤は2.6%増。1日当たり医療費は全体で4.1%増で、医科入院3.6%増、医科入院外2.7%増、歯科1.2%増に対し、調剤は6.1%増だった。
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