「ファーマボックス」立ち上げ
薬剤師の人材紹介サービス「ファーマキャリア」を中心に医療機関への人材サービスを展開する「エニーキャリア」は、薬剤師専用の求人・PRサイト「ファーマボックス」を立ち上げた。薬局や病院が薬剤師向けに発信したい情報を無料で掲載し、薬剤師の直接応募から採用に至った場合、成功報酬も一切発生しないという。
同社は、2015年にファーマキャリア事業を開始した。青木理音代表取締役は、事業を進める中で、「薬局や病院が持っている情報のうち、転職・就職活動をしている薬剤師向けの情報が不足している点に気がついた」と語る。さらに、ファーマキャリア事業に携わっている社員からの「情報がもっとあれば、より良いマッチングが実現可能なのに」「医療機関側は気づいていないかもしれないが、このポイントは求職者にとって非常にアピールできる」などの声を反映する形でファーマボックスを立ち上げることになった。
ファーマボックスは、求人掲載・応募機能とPR機能が合わさった薬剤師専用求人・PRサイト。通常の求人サイトとは異なり、掲載期間は無制限で、募集を行っていない場合でも企業側は常に自社の情報を発信できる。掲載から採用に至るまで基本的に無料(直接応募の場合)で利用可能という特徴を持つ。
青木氏は、「薬局をはじめとした医療機関は、薬剤師の採用に関わる人員規模が大きくないことが多い。採用の専任担当者がいないケースも少なくないため、常時採用に注力することが難しい。いざ採用活動を行うというタイミングで、求職者にとって有益な情報を発信する準備が十分に整っていないこともある」と分析。
その上で、「『規模は大きくないが、キラリと光るポイントがある薬局』のように、求職者にとって魅力的な職場環境がある医療機関が情報発信を十分にしていないというだけで良い人材を採用できる機会を失うのは非常にもったいない。積極的に情報発信をしてもらえるよう、敢えて基本無料のサービスとし、情報発信のインセンティブがあるサービス設計とした」と話す。
求人募集を行っていない時期であっても、ファーマボックスを活用することで知名度向上につながるとし、「『いざ採用活動を始めたい』という時に、すぐに活動を始められる。直接応募から採用に至れば、採用にかかるコストを抑えられる」とのメリットを強調した。
情報をより充実させたい医療機関向けには、業界初となる先輩社員のインタビュー動画などを有償で作成するプランも用意した。インタビュー時に医療機関を訪問して撮影した写真や動画と取材記事を掲載して情報量を増加できるほか、エニーキャリアの社員による第三者目線のコメントも取り入れることで、客観的な魅力も併せた豊富な情報を発信できるようにしている。
青木氏は、「求職者から見て働く上で魅力的だと感じるポイントと、医療機関が求職者に伝えたいと思う内容にギャップがある」と指摘した上で、「薬剤師は給与などの待遇以外にも、職場の雰囲気や調剤する環境という点を重視している人も多い」と明かす。コンサルタントの視点を生かした動画や記事を作成することで、「採用側が見落としがちなアピールポイントを発信することができ、結果としてより良い採用活動を行うことにつながる」と語る。
青木氏は、「われわれはファーマボックスを通じて、採用活動における医療機関が抱えている課題を解決したいと考えている。『人材紹介か、直接応募か』という二者択一の視点ではなく、両方を使ってもらった上でより良いマッチングをかなえられるというのが理想。適材適所が実現できれば、ひいては社会貢献につながる、というサービスを目指している」と話す。
エニーキャリア(ファーマボックス)
https://pharmabox.jp/