輸入冷凍餃子による健康被害の発生や食品の偽装表示問題など、食の安全に対する国民の関心が高まっている。東京都は先月、約300人を対象に、インターネット上で「食の安全について」アンケートを実施したが、その結果がまとまった。モニターが対象ということで、もともと都政に意識の高い人たちの回答だが、食品の安全に対して非常に高い関心を持っていることがうかがえるものだった。有効回答数は195人。
食品の安全性をめぐっては様々な報道がなされている。「食の安全」については、「とても関心がある」79.5%、「少し関心がある」17.9%で、これらを合わせると97.4%の人が注視していることが分かる。
食品の安全性に関して、特に不安に思っている項目を三つまで挙げてもらったが、最も多かったのが「残留農薬」で62.6%、次いで「偽装表示」51.8%、「食品添加物」45.6%、「食中毒(O157、ノロウイルスなど)」37.4%、「輸入食品」34.4%、「BSE(牛海綿状脳症)」29.2%、「遺伝子組み換え食品」26.2%、「いわゆる健康食品」8.2%などであった。
食品を購入する時に、安全性を考慮して選んでいるかでは、「とても考慮している」51.8%、「やや考慮している」41.8%で、合わせると92.8%に上る。同じく購入時に、食品の表示(原材料や産地など)を確認しているかでは、「いつも確認している」58.5%、「物によっては確認している」39.0%で、こちらも合計では97.5%と高い比率になる。数年前との比較はないものの、食品に対する意識が年々高まっているのは間違いないだろう。
国民生活センターは先頃、関節によいとされる健康食品をテストしたところ、コンドロイチン硫酸の含有量が実際の表示量に比べて大幅に少なかった製品が見られたほか、消費者に誤認を与える表現の製品もあったことから、業界や行政へ改善を要望していくことを発表した。ここ数年は、同成分を含む健康食品について「効果があるのか心配」「成分について知りたい」など、品質や機能に関する相談が増えていたことも、商品テストの背景にあったようだ。
東京都の調査でも、食品の安全性を判断する基準を聞いているが、トップは「信頼できる生産者やメーカーであること」の61.9%で、次いで「国内で生産、製造、加工されたものであること」56.9%、「信頼できる店舗が販売していること」44.8%、「使用されている食品添加物が少ないこと」37.6%などの順であった。
最終的には、消費者自らが意識を高め、賢くなることが必要だが、そのためには適切な情報提供体制が欠かせない。先の調査でも、食品の安全性に関して不安に思っている項目としては、健康食品は最下位であった。これは厳格な基準に基づいて製造された確かな品質の製品という認識が、消費者に浸透してきているからと言えるだろう。今後も、食品の安全性を強く求める消費者を裏切るような事件がないことを望みたい。