エーザイは、重症敗血症治療薬「エリトラン」について、新型コロナウイルス感染症治療薬としての開発に着手する。同剤は2011年に開発中止となっていたが、重篤な免疫過剰反応により呼吸障害を引き起こすサイトカインストームを抑制する作用を持つことから、新型コロナウイルスに対する治療薬としても有望と判断。6月には国際共同治験を開始する予定だ。内藤晴夫CEOは13日に開催した決算説明会で、「順調にいけば年内に治験結果が判明する」との見通しを語った。
エリトランは、サイトカインストームの原因となるTLR4の活性化を阻害する自社創製のアンタゴニスト。重症敗血症の適応で開発していたが、国際共同第III相試験で主要評価項目を達成できなかったことから11年に開発中止となっていた。サイトカインストームはウイルス感染により引き起こされる可能性があり、患者の呼吸障害の一因となる重篤な免疫過剰反応。エリトランは、産生シグナルの最上流となるTLR4を阻害し、複数のサイトカイン産生を単剤で一度に抑制できるため、内藤氏は「新型コロナウイルス感染症の肺炎の重症化を防ぐ可能性がある」と開発に意欲を示した。
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