ロート製薬は23日、新型コロナウイルス感染症の重症肺炎患者を対象にした細胞製剤「ADR-001」の治験を始めると発表した。間葉系幹細胞を患者に投与して、免疫反応の暴走で肺が傷つけられることを抑える。今月中に治験届を提出し、早ければ8月に試験を始める計画。新型コロナウイルス感染症に対する間葉系幹細胞を用いた国産細胞製剤の治験は国内初。来年12月まで治験を実施し、安全性評価を中心に有効性も確認する。
治験では、肝硬変を適応症として自社開発を進める細胞製剤「ADR-001」を転用し、新型コロナウイルス感染症による過剰な免疫反応で自己組織を攻撃するサイトカインストームを抑える効果を検討する。「ADR-001」は他家脂肪組織由来幹細胞で構成する細胞製剤で、他人の脂肪細胞による同種移植のため、必要な患者に迅速に提供できるのが特徴。ロートが原材料の調達から生産まで国内で実施している。既に炎症性サイトカイン産生を抑える効果を培養器上の試験で確認済みで、今後ヒト体内での効果を確認していく。
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