全日本医薬品登録販売者協会会長 杉本雄一

謹んで新年のお慶びを申し上げます。2019年12月、新型コロナウイルスの流行が中国湖北省武漢市を中心に発生して以来、瞬く間に世界中に広がり、パンデミックを引き起こしました。人類は、20年内にコロナ禍を脱することができず、グローバルな医療危機と、社会経済的な危機を抱えたまま、新しい年を迎えることとなりました。
わが国においても、今なお深刻な医療危機が続いています。医療の現場においては、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師等が過酷な勤務に当たっておられます。介護の現場においても同様です。医療・介護崩壊の危機を回避するため、われわれ登録販売者は、市民に対して、感染症対策・公衆衛生の普及啓発・実践徹底に向けた日常業務に専心し、成果を上げるべき社会的使命があります。そのためにも、登録販売者自身、十分な感染症対策を取り、公衆衛生の向上に尽力すべく、心を新たにしているところであります。
昨年は研修形式等につき、厚生労働省より新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、「感染予防の観点から、集合研修に代えて通信講座等による研修等の実施より、通信講座等の時間数が集合研修の時間数を超えても差し支えないこと等を骨子とする」との内容の特例措置が発せられました。
この特例に沿った研修の実施は初めてのことであり、多くの調整が必要でした。感染症対策として、カリキュラムの変更も行いました。厳しい環境の下、登録販売者の資質向上のため、大勢の関係者の皆様にご尽力をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。
本年は、昨年改正公布された医薬品医療機器等法のうち、薬局等におけるガバナンス関係規定の施行に伴い、業務上の組織的対応・支援が必要になりますので、全薬協は店舗販売業のガバナンスを中心とした対応・支援を実施します。
こうしたガバナンス関係規定の改正は、医薬品製造販売業や薬局等における、組織的で重大な法令違反等が発生したことを背景にしていますが、店舗販売業においても、同様のことを起こさないように自主点検の充実が不可欠です。全薬協では本年、法令遵守の基盤づくりとして、薬事関係規制の周知・徹底のための講座の一層の充実に取り組みます。