
三上正利氏
厚生労働省は一般用漢方製剤210処方の見直しを進めているが、日本薬剤師会薬局製剤・漢方委員会の三上正利委員長は、16日に開かれた日本漢方協会の漢方学術大会で、現在までの検討状況を報告した。三上氏によれば、日薬は厚生労働省研究班の報告に基づき、薬局製剤の漢方薬として新たに83処方を追加したいと考えており、同氏は「1989年から要望してきた拡大が、ようやく日の目を見そうだ」と期待を述べると共に、厚労省の対応について、重大な関心を持って見守っていく意向を示した。
薬局製剤の漢方薬は「一般用漢方製剤承認申請内規」(210処方)に準拠しているため、薬局製剤漢方に新規処方を追加するためには、210処方の改訂が前提となる。日薬の薬局製剤・漢方委員会は、89年から新処方の要望について準備を始め、95年には37処方の新規収載を要望した。
厚労省は、02年に出された一般用医薬品承認審査合理化委員会の中間報告を踏まえ、03年度から3年間にわたり、国立医薬品・食品衛生研究所生薬部長の合田幸広氏を主任研究者とする厚生労働科学研究班を組織し、新210処方の検討を進めた。その結果をもとに、210処方改訂案のうち既存処方の見直し部分が、2月と6月に開かれた薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会で審議され、7月に原案が公表された。
三上氏によれば、既存処方の見直しに関しては、[1]すべての内服薬に証の制限を付ける[2]胃アトニーを胃腸虚弱と改めるなど、病名・効能表現の一般化[3]加味逍遙散の小児使用を不可とするなど、年齢制限の検討[4]瀝青を松脂と変更するなど、原料生薬の明確化――などが提案された。この改正案には、日薬も賛成の意見を提出したという。
ただ、問題は新規処方の取り扱い。日薬が要望してきた37処方は、厚労省研究班が整理した83処方の中に概ね含まれていることから、三上氏は「国から示されているのは、まだ既存処方の見直しだけだが、35年ぶりの210処方改訂であり、日薬としてはぜひとも83処方を通したいと考えている」と語り、厚労省の前向きな対応に期待を寄せた。