武田薬品と米アムジェンは20日、非小細胞肺癌治療薬「AMG706」(一般名:モテサニブ)の国際共同第III相試験について、新規患者登録を一時中断すると発表した。独立データモニタリング委員会(DMC)が行った600例の安全性評価の結果を受け、中断を決定したもの。ただ、非小細胞肺癌患者のうち、既に登録済みの非扁平上皮癌患者に対しては、引き続きAMG706の投薬を継続する。
AMG706は、武田薬品が2月に買収したアムジェン日本法人(現武田バイオ開発センター)から導入したVEGF受容体阻害剤。進行非小細胞肺癌患者の一次治療薬として、パクリタキセル+カルボプラチン併用群とのプラセボ対照二重盲検試験が日米欧において進行中で、欧米での開発をアムジェンが、日本での開発を武田バイオ開発センターが担当してきた。
今回、DMCは600例の安全性評価から、AMG706群はプラセボ群に比べ投与初期の死亡率が高いとの結果が得られたため、非小細胞肺癌患者の新規登録を行わないよう勧告。また、扁平上皮癌患者の喀血頻度が明らかに高かったことを踏まえ、扁平上皮癌患者へのAMG706の投薬中止を推奨している。
これを受け、アムジェンと武田バイオは、非小細胞肺癌患者の新規登録を中断することを決定した。ただ、扁平上皮癌患者には投与を中止するものの、既に登録済みの非扁平上皮癌患者に対しては、引き続きAMG706の投薬を継続する。
今後の対応は、3カ月後に予定されるDMCの再解析結果を受けて判断する模様だが、武田薬品は10月に前立腺癌ワクチン「GVAX」が第III相試験で開発中止に追い込まれたばかり。今回、アムジェンから導入した「AMG706」も第III相試験段階で患者登録の中断に至ったことで、強化を進める癌領域の開発に再びブレーキがかかった格好となった。