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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】コスモス薬局(京都市中京区)

2006年08月02日 (水)

調剤業務をシステム化、大幅に待ち時間を短縮

 コスモス薬局(京都市中京区)では服薬説明や監査業務に力を入れている。充実した服薬説明を行うには環境整備も大切な要素になる。2年半前の移転を機に大幅にシステムを見直し調剤の合理化を進める。その一方で質の高い服薬説明ができるように電子薬歴も導入し、継続した服薬説明も実現させている。社内外の教育にも力を入れているほか、プレゼンテーションスキルを培わせるために学会発表も活発に行っている。

 コスモス薬局は京都シグマプランが京都市内に展開する4薬局のうちの一つ。隣接の医療機関からの処方せんを中心に応需するが、地域住民の口コミなどで現在は70ほどの医療機関からの処方せんを受け入れ、面分業へも広がりをみせている。処方せん枚数は月間700008000枚を数え、非常勤の薬剤師も含めると24人が在籍する。

 早川浩司氏(京都シグマプラン代表取締役)は「安全、安心、親切、丁寧の考えで、患者様から頼りにされる薬局を目指し、地域密着の業務を行っている。4薬局で200人以上の患者宅を訪問しており、在宅医療にも積極的に関わっていきたい」と同社の理念を説明する。そういった業務を行うためにも、まず薬剤師の質を向上させようと、社内で学習会や勉強会を開催したり、薬剤師会など社外研修会への参加を奨励するなど、力を注いでいる。全職員に日本薬剤師研修センターの認定薬剤師を取得するようにも促している。

 その熱心さは社内スタッフだけでなく、学生の実習受け入れなどにも反映しており、地元の京都大学や京都薬科大学などの薬局実習、早期体験学習にも協力し、多くの薬学生を受け入れている。「学生の実習に協力する一方で、スタッフも勉強させられることがある。お互いリンクし、向上していけばいい」と早川氏。

 コミュニケーションスキル・プレゼンテーションスキルの向上を強調する早川氏は、「服薬説明をするにしても分かりやすく伝えることは必要」との考えから、学会発表や待ち合いスペースで行う地域住民向け健康セミナーの講師などを経験しながら、スキルを磨いてもらっているという。

【電子薬歴の導入で充実した服薬指導】

ブース方式のカウンターに電子薬歴の「テラ」が各1台設置されている
ブース方式のカウンターに電子薬歴の「テラ」が各1台設置されている

 グループ内でもコスモス薬局は最もシステム化が進んでいる。「効率化や薬剤師業務の質的向上を考えたときに、システム化は自然な流れ」(早川氏)だった。薬局づくりをトータルに支援している高園産業との間で開局1年ほど前から新薬局について話し合いを進めてきた。その中で最優先に「電子薬歴の導入」を進め、同社の「TerRa(テラ)」を採用した。「薬剤師が商品開発に携わっていると聞き、薬剤師の視点に立った商品づくりをしている」と堀部徹氏(コスモス薬局薬局長)は導入した理由を語る。

 患者プライバシーに配慮したブース方式の投薬カウンターに、1台ずつテラを設置している。処方せんの枚数も多く服薬指導にも大勢の薬剤師が当たるため、「患者様にとっては毎回違った薬剤師が対応することで不安に感じる点があると思う」。規模が大きい薬局になると「どの薬剤師が対応しても、情報を早く的確に掴むことが重要になってくる」と指摘する。その点テラは、服薬指導時に引き継ぎ事項を入力することができ、次回の服薬指導時には入力された事項がポップアップ式で画面に出てくるので、「継続的な服薬指導ができる」(堀部氏)点がメリットだという。薬品名をクリックするだけで日本医薬品集の情報にもアクセスできるなど服薬説明の支援機能も充実している。

早川氏(右)と堀部氏
早川氏(右)と堀部氏

 「経験差、得手・不得手などに左右されない服薬指導が可能になる」と堀部氏はテラを評価する。

 テラと双方向の連携がとれるレセコン「Piva(ピバ)」も導入し、後会計も実現させている。処方入力の際、併用禁忌薬物や用法・用量でのチェック機能もあり、患者にとって大切なプレアボイド事例なども示して「安全、安心には欠かせないシステム」(早川氏)と評価している。

【服薬指導と監査業務に重点】

監査業務も重視。専属の人員を配置する。監査後、コンベヤーで1階に下ろす
監査業務も重視。専属の人員を配置する。監査後、コンベヤーで1階に下ろす

 待ち合いスペースや投薬カウンターを充実させたため、調剤スペースは2階部分へ。「服薬指導を充実させるためには、待ち時間を少しでも減らして服薬指導の時間に充てたかった」(堀部氏)ということから調剤の迅速化も実現させている。ここでも、散薬分包機・錠剤包装機をはじめ、監査システムや調剤台等の調剤機器は高園産業で統一。並行調剤も取り入れながら、「キーポイントとなる服薬指導と監査業務には人をしっかりと配置できるように、その他の業務はシステムや機器で合理化することにより省力化を図っている」(早川氏)

【受付番号にも工夫】

 服薬指導を充実させるには待ち時間を減らすことも大切な要素だ。そのため受付番号にも工夫をこらしている。直接来局し現在待っている患者の薬を優先的に渡すために、空いた時間に調剤できる在宅患者などの処方せんは特定の番号に振り分ける。

在宅患者の処方せんなどは混雑時にはシステム上、ストックしている。余裕のある時間に調剤者に処方内容を送るよう設計されている
在宅患者の処方せんなどは混雑時にはシステム上、ストックしている。余裕のある時間に調剤者に処方内容を送るよう設計されている

 さらに、インフルエンザやはしかなど隔離性疾患患者は最優先で薬を手渡すように心がけ、他患者への感染防止にも配慮する。

 そのため、薬局側のニーズに合わせたシステムを高園産業に提案し実現化しており、カスタマイズされた独自システムを運用しながら患者サービスの向上に役立てている。



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