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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】キタ薬局明野店(大阪府高槻市)

2006年08月02日 (水)

地域密着で健康づくりに力注ぐ「健康ステーション」の役割担う

 昔ながらの商店が軒を連ねる通りに店舗を構えるキタ薬局明野店(大阪府高槻市)は、地域密着を展開する薬局の代表格といえる存在だ。回りは古くからの住宅地で高齢者率も高い地域で、町中まで足を運べない地域住民のよりどころにもなっている。OTCの取り扱い品目も多く、地域の健康ステーション的な役割を担っている。


【高齢住民の不便さ解消で多品目のOTC扱う】

キタ薬局明野店(上)と薬剤師のみなさん(右から2人目が喜多氏)
キタ薬局明野店(上)と薬剤師のみなさん(右から2人目が喜多氏)
キタ薬局明野店(上)と薬剤師のみなさん(右から2人目が喜多氏)

 1970年に喜多美幸氏とご主人の2人で開局したキタ薬局は当初から2店舗体制。本店の役割を担う野田店のほか、同じ地域に明野店もある。開局した当時は、OTCの取り扱いの方が多く、細々ながら院外処方せんも応需していたが、時代と共に医薬分業が進展し、院外処方を応需する割合も次第に増加。12坪と決して広くない明野店には、門前の内科診療所を中心に、先月だけでも56の医療機関から月に約2000枚の処方せんが舞い込み、品目数も1000を超えている。野田店も合わせると、喜多夫妻も含め8人の薬剤師が在籍する。

 喜多氏の考えは医療用医薬品だけでなくOTCも含めた「すべての薬に関わりたい」との思いから、OTCの取り扱いも多い。野田店ではさらに多い品目数を取り扱う。住民からの要望や問い合わせの多い商品を置くなど地域の要望にも応える。サプリメントは書籍などを参考に科学的根拠が明らかになっている商品を選んでおくようにもしている。

 これほどまでにOTCを取り揃えるには、ほかの理由もある。少し離れればドラッグストアもあるが、高齢者が多い地域でその距離でも不便さを感じる。以前は地域に何軒かの薬局はあったが、時代の移り変わりと共に消え去り、今ではキタ薬局だけになった。「OTCで利益を上げようとは思っていない。地域住民の不便さを解消するためにも、OTCを充実させている」と喜多氏は語る。

 実際、OTCの相談で地域の多くの人々が訪れる。「この程度の症状ならOTCで様子をみましょうとか、その症状なら医療機関を受診してはどうかとアドバイスも行っている」(喜多氏)と適切な方向に振り分ける役目も薬局・薬剤師は担っている。明野店では在宅訪問は行っていないが、依頼があれば在宅も行っている野田店への引き継ぎもしているという。

【後発品取り扱い品目が増加、薬歴の電子化でスペースを有効活用】

カウンター上に設置した「薬歴くん」。指導内容や患者から聞いた内容を入力する
カウンター上に設置した「薬歴くん」。指導内容や患者から聞いた内容を入力する

 今年4月の改正で後発品が促進されるようになり、後発医薬品の取り扱い量が増えてきた。同店も例外ではなく、スペースを占めていた薬歴棚の有効活用を考えたときに電子薬歴の導入を決めた。総合経理研究所のレセコンを6月下旬にバージョンアップし「調剤くん・com(ドットコム)」に切り替え、処方入力用に1台、電子薬歴システムの「薬歴くん」を2台導入した。今年4月には薬袋の印字システムやお薬手帳のシールプリンターも導入し、わずらわしさがあった手書き作業からの省力化が図られている。

【服薬指導支援ツールが充実”質の高い情報を提供】

 薬歴くんには、堀美智子氏監修の「服薬マネジメント・虎の巻」(日経BP社)の内容を実践できる機能が盛り込まれている。

 処方薬から考えられる患者の症状やその対応策も示してくれるので、「服薬指導をする時に役立つ」(管理薬剤師の住吉智子氏)という。さらに添付文書も呼び出せ、OTCとののみ合わせもチェックできるなど、服薬指導支援ツールも充実している。「薬剤師間でも指導や知識などでバラツキがあるが、その差を埋めることができる」(喜多氏)と薬歴くんに期待を寄せる。

 薬歴棚から薬歴を選び出す作業が軽減され「0・5人分ほど省力化されているように思う」(喜多氏)とも指摘する。その分「薬剤師本来の仕事に時間をかけられるようにもなり、質の高い服薬指導が行えるようになった」(薬剤師の森珠希氏)

 処方入力の面でも、「レセプト関係の知識をある程度もつ薬剤師なら入力が簡単にできる。事務員が不在でも薬剤師が容易に業務をこなせる」(薬剤師の米澤知子氏)と、調剤くんドットコムの使い勝手の良さを指摘する。

【社内研究・研修充実へ】

 今年9月に同地域に1店舗をさらに開局予定で、「われわれ薬剤師も患者さんの顔を見れば薬が分かるほど近い存在で、地域の方々の家族構成まで分かるほど。人の集まる駅前などの薬局にはない良さを出していければ」(喜多氏)と、地域の健康づくりに関わっていきたい思いは募るばかりだ。

 社外の研修会にも参加するだけでなく、社内での勉強会にも力を入れ始めた。「今後は社内で研究発表できる場を作っていければ」(住吉氏)と向上心をのぞかせる。



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