最大の波だった新型コロナウイルス感染拡大が、ここにきて落ち着きを見せている。しかし、パンデミック自体が収束したわけではないので、次の第6波襲来に備えておかなければならない。
今月4日に岸田文雄氏が首相に指名されて新たな政権が発足した。第100代という区切りの良い数字だが、コロナ対策、経済・財政の再生、各種安全保障と解決しなければならない課題は山積しており、順風満帆の出航とは言い難い。
8日の所信表明では、「新型コロナ対応」「新しい資本主義の実現」「国民を守り抜く、外交・安全保障」の三つを主要な政策に掲げた。既報の通り、コロナ対策では、「危機対応の要諦は、常に最悪の事態を想定することだ」として、「病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策を徹底する」と述べたほか、ワクチン接種の推進、経口治療薬の年内実用化、電子的ワクチン接種証明の積極的活用、予約不要の無料検査の拡大にも言及した。
また、コロナ対策の不備を指摘する声を受けたものなのか、「これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったかを検証し、司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正、国産ワクチンや治療薬の開発など、危機管理を抜本的に強化する」とした。
野党からは具体論に乏しいと批判されたようだが、首相の所信表明なのだから、このような表現になる。具体策は担当閣僚と現場がつくっていくことになる。
「第8次医療計画等に関する検討会」の第3回会合が13日に開催された。
医療計画は、医療機能の分化・連携の推進を通じて、地域において切れ目のない医療の提供を実現し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図ることが目的である。
同検討会は、現行の第7次医療計画の課題等について整理を行うことにより、2024年度(令和6年度)からの第8次医療計画をより実効性の高いものとするため、医療計画作成指針の見直し等について検討することを目的として設置された。今回は、新型コロナウイルス感染症対応について9人の参考人から事例発表が行われた。
「世界に冠たる」と言われる日本の医療制度は、国民皆保険、トップレベルの先端医療、献身的で優秀な医療職人材によって成立している。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による医療現場の混乱と疲弊・逼迫している状態に陥ることは、これまで誰も想像していなかっただろう。
日本は、新型コロナウイルス関連のワクチン・治療薬だけでなく、革新的な医薬品をまだまだ開発できる素地は保有しているはずだ。新しいライフスタイルへの移行を余儀なくされた国民に、安全・安心な医療体制と医薬品を提供してもらえることを期待する。