日産化学工業と帝人ファーマは5日、新規心房細動・粗動治療薬、予防薬として国内で共同開発中の「NTC‐801」ついて、日本を除く全世界での独占的開発・販売権を米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)に導出すると発表した。契約一時金と開発段階、売上高に応じたマイルストーンの総額は、3億8500万ドル(約383億円)に上る。
「NTC‐801」は、日産化学が創製した新規心房細動治療薬。アセチルコリン感受性カリウムチャネルを阻害し、心房に選択的に作用することで、副作用を起こすことなく心房細動を抑制する。2005年には、帝人ファーマが「NTC‐801」に関する国内での独占的開発・販売権を導入し、日産化学と共同開発を進めてきた。現在、国内第I相試験を実施している。
今回のライセンス契約締結により、日産化学と帝人ファーマは、「NTC‐801」とバックアップ化合物に関して、日本を除く全世界での独占的開発・販売権をBMSに導出する。これを受け、両社は契約一時金として4000万ドル(約40億円)、開発段階に応じたマイルストーンとして総額1億7000万ドル(約169億円)、売上高に応じたマイルストーンとして総額1億7500万ドル(約174億円)、さらに売上高に応じたロイヤリティを受け取る。
今後、日本を除く全世界における「NTC‐801」の開発は、BMSが実施することになる。ただ、原薬については日産化学が製造し、供給を行う。
心房細動は、高齢者の増加が見込まれる中、患者人口の急増が予測されており、15年には心房細動患者数が国内で約100万人、欧米では約840万人に上ると推定されている。