「登録」制度の認知は不十分
東京都福祉保健局はこのほど、2010年度「健康増進法に基づくがん検診の対象人口率調査」の結果を公表した。都全体では胃癌、肺癌、大腸癌、子宮癌、乳癌のいずれの検診も、受診率は3割台だった。また、一人ひとりの癌患者に関する診断データや、その後の経過・生存状況など、都道府県ごとに癌に関する情報を集める「地域がん登録」制度に関する都民の認知は、1割に満たなかった。
調査は、今年6月に行われた。区市町村が実施する癌検診について、対象者数を正確に把握し、受診率の算定方法を都内で統一することなどが目的で、5年に1回行われている。都民の癌検診受診率と、地域がん登録に対する意識などについても調べた。
対象は、都全域(島しょを除く)に住む満20歳以上の女性と、満40歳以上の男性の合計3000人で、男性804人、女性1357人の合計2161人から回答を得た。
都民の癌検診の受診率を見ると、最も高いのは大腸癌の37・2%で、次いで胃癌36・7%、子宮癌35・9%、肺癌35・1%、乳癌32・8%となっている。
前回調査と比べると、胃癌と肺癌が低下、その他三つの検診では上昇した。男女別では、男性の大腸・胃・肺の各癌検診受診率は、いずれも4割前後(39・6%~41・9%)だったが、女性の受診率は、大腸癌35・1%、胃癌32・0%、肺癌30・8%となった。
癌検診を受診した理由では、各検診とも「年齢的に検診の対象だったから」と「職場の検診内容にあったから」が多かった。特に「年齢的に検診の対象だったから」は、乳癌検診で49・1%、子宮癌検診で44・9%と高くなっている。
一方、受診しなかった理由としては、各検診とも「健康に自信があるから」がトップ、「受ける時間がなかったから」が2位だった。
「地域がん登録」制度の認知度については、「聞いたことがない」が93・1%と非常に高く、「聞いたことがある」はわずか6・7%にとどまった。男性の70歳以上、女性の60歳代と70歳以上で1割を超えたが、地域がん登録制度の認知は、まだまだ進んでおらず、低い状況であることが明らかになった。
「地域がん登録」から得られた情報は、市町村の癌検診、癌医療制度などの見直しに活用され、今年1月現在で36道府県で実施されているが、都では実施されていない。その必要性に関しては、「必要だと思う」が49・4%、「必要だと思わない」が11・5%だった。男女別、年齢別に見ると、「必要だと思う」が女性の20歳代と30歳代では6割近くに達した。