法律に基づいて、国のがん政策を審議する「がん対策推進協議会」が、次期基本計画が始まる2012年度の政府予算を、増額するよう提言する意見書を取りまとめた。
研究関連では、新たな課題として、集学的治療を開発する研究者主導臨床試験を推進するため、がん診療連携拠点病院の臨床研究コーディネーターやデータマネージャーを充実させて、基盤強化を図るよう指摘した。また、標準治療の確立を目指して、研究者主導の第III/IV相試験を行う多施設共同研究グループの整備も求めた。
放射線療法・化学療法の推進や医療従事者の育成をめぐっては、ドラッグラグ解消策として、コンパッショネート・ユースの導入、未承認薬の研究者主導臨床試験への財政支援、支持療法のラグ解消の検討に言及した。チーム医療などを円滑に行うためのシンポジウムや患者アンケートも要望した。治療法の選択・セカンドオピニオンに関する実態調査も課題に挙げた。
がん登録については、院内がん登録データベースシステムの開発などの充実策を示した。
小児がんでは、小児がん拠点病院(仮称)の創設、小児に対応できる看護師や薬剤師の養成を提案した。
緩和ケアについては、自宅療養期間、医療費、医療内容の実態調査や、拠点病院と地域の在宅緩和ケアを担う診療所等とのネットワーク構築を求めた。
患者・家族への対応では、相談に24時間対応できる全国コールセンターの設置を推進するほか、患者・家族が相互に支援し合う「ピアサポート」の実態把握に取り組むよう求めた。