厚生労働省は10日の厚生科学審議会疾病対策部会・難病対策委員会で、今年度の約4倍に当たる100億円を計上した難治性疾患克服研究事業について説明した。予算の拡充により、筋委縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病など123疾患の研究対象疾患を広げるほか、診断が確定していないため、未対応だった疾患の研究にも取り組む。同委員会は、大幅増となった同事業の説明のため、7年ぶりに開かれたが、今後は数カ月に1回のペースで開くという。また、委員長には金澤一郎氏(日本学術会議会長)が選出された。
会議の冒頭あいさつした舛添厚労相は、「厳しい財政状況だったが、4倍の予算を計上することができた。難病対策の歴史において新たなページを開いたと言えるよう、省を挙げてがんばっていきたい」と述べた。
難治性疾患克服研究事業はこれまで、▽革新的診断・治療法を開発する「重点研究分野」▽疾患横断的に病因・病態解明の研究を行う「横断的基盤研究分野」▽123の対象疾患を中心に原因究明などを行う「臨床調査研究分野」――の3分野ごとに進められてきたた、来年度から対象疾患を増やすなど、3分野をそれぞれ拡充する。
「重点研究分野」には、25億円(前年度5億円)を充て、先端医療開発特区(スーパー特区)制度の活用をを想定した革新的診断・治療法の開発を行うほか、「横断的基盤研究分野」では、生体試料(血液、細胞、遺伝子など)の収集体制整備に21億円(4億円)を計上する。「臨床調査研究分野」には、23億円(15億円)を用い、対象疾患を130に拡大する。
また、31億円を計上し、希少性が高いため研究が行われず実態が不明な100疾患を対象に疾患概念の確立を目指す「研究奨励分野」、未対応の希少疾患の患者情報を収集・解析する「未知疾患情報探求分野」を新規に立ち上げる。