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米食品医薬品局(FDA)は12月19日、オピオイド使用障害のリスク上昇に関わる遺伝子多型を保有する人を特定するためのAvertD検査を承認した。この検査は、患者の頬から採取したスワブ検体のDNAを用いて、オピオイド使用障害に関連する脳の報酬系に関与する15個の遺伝子多型を検出するもので、この種の検査としては初の承認になるという。
AvertD検査は、待機手術を受ける予定の患者などにおいて、急性疼痛の治療として4~30日間のオピオイド鎮痛剤の初回処方が考えられる場合に、オピオイド曝露前のリスク評価のために用いられる。この検査は処方箋を要し、オピオイド使用歴のない患者に対し、患者の同意の上で医療提供者によって使用される。一方、この検査は慢性疼痛の治療を受けている患者に用いることは意図されていない。また、オピオイド使用障害のリスク評価法として単独で用いるべきではないと、FDAは指摘している。
AvertD検査について審議した2022年10月開催のFDA諮問委員会の資料によると、今回の承認は、対象者385人における臨床試験に基づいている。対象者のうち175人はオピオイド使用障害との診断を受けていた。同試験によれば、AvertD検査がオピオイド使用障害のリスクのある人を正確に特定する精度(感度)は約83%であり、オピオイド使用障害のリスクのない人を正確に除外する精度(特異度)は約80%であった。ただし検査精度は民族によって異なり、白人における感度は約81%であったが、ヒスパニック系では約92%であった。
AvertD検査には、他の体外診断用医薬品と同様に、主に偽陽性および偽陰性の結果に伴うリスクがあると、FDAは指摘している。偽陽性の場合、オピオイド使用障害の遺伝的リスクが高くないにもかかわらず、オピオイド鎮痛剤の使用を拒否される可能性がある。一方、偽陰性の場合、検査でオピオイド使用障害のリスクが高くないとされたにもかかわらず、使用障害に至る可能性がある。
AvertD検査は、AutoGenomics社により製造される。FDAによれば、承認条件の一環として、同社は医療従事者に対し、この検査の適切な使用のためのトレーニングを提供することが求められている。(HealthDay News 2023年12月21日)
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https://www.fda.gov/medical-devices/medical-devices-news-and-events/fda-approves-first-test-help-identify-elevated-risk-developing-opioid-use-disorder