総務省統計局は4日、今年4月1日現在の15歳未満人口(子供数)を発表した。それによると、前年比35万人減の1366万人で、1982年から44年連続減少という結果となり、過去最少を記録した。また、総人口に対する子供人口比率は11.1%(対前年比0.2ポイント減)と比率も過去最低で、こちらは75年から51年連続の低下となった。将来的な国家存亡の危機とも言える厳しい状況が続いている。
少子化が加速している日本で、子供たちの健康に大きく影響する一つの因子が感染症である。4月に発足したばかりの国立健康危機管理研究機構(JIHS)は同22日に「百日咳の発生状況について」を公表した。この情報提供は、国立感染症研究所、応用疫学研究センター、感染症危機管理研究センターの連名で発出しており、早速司令塔としての役割を示した。
2018年に小児科定点把握対象から全数把握対象に変更された5類感染症の百日咳は、グラム陰性桿菌の百日咳菌が主な原因の急性気道(呼吸器)感染症で、痙攣性発作が特徴の疾患。発症メカニズムは明確になっていないという。感染経路は鼻咽腔、気道からの分泌物による飛沫と接触感染であり、感染力は強いとされる。7~10日程度の潜伏期を経て、カタル期、痙咳期、回復期を辿るが、痙咳期では乳児(特に新生児、乳児早期)が重症化することがあり、肺炎、脳症等の合併症を併発して稀に死亡する例もある。
直近の発生状況は、診断週第12週に4200例で、18年に全数把握対象となってから同時期比較で過去最高となり、24年の年間届出数4054例を既に超えた。
細菌による疾患の治療法として多用されるのが、抗菌薬の投与である。百日咳でもマクロライド系抗菌薬が第一選択薬として用いられている。抗菌薬の使用で大きな課題となるのが薬剤耐性(AMR)である。中国では、マクロライド耐性百日咳菌(MRBP)が出現、拡大して世界から注目を集めた。
今回発表された資料では、リスク評価と対応として「10代の報告数が多くなっており、今後学童期以降の小児を中心に、国内での報告数が増加していく可能性がある」と指摘すると共に、「アジアを起源とするMRBPが国内でも報告されているほか、マクロライド系抗菌薬以外の系統の薬剤に対しても耐性が報告されており、今後の百日咳菌における薬剤耐性の傾向を把握するために、細菌学的・疫学的な解析を継続する必要がある」と警鐘を鳴らした。
最後に、「重症化予防の観点から、定期接種対象年齢(月齢)に達した乳児は速やかに百日咳抗原含有ワクチンを接種することが最も重要であり、予防接種法に基づく定期接種の徹底が必要だ」と強調した。
子供たちの健康と命を守る対応策は焦眉の急だ。