富士フイルムと堀場製作所は7日、遺伝子治療薬の生産性を向上させる遺伝子導入装置を共同で開発したと発表した。富士フイルムは、遺伝子治療薬の製造プロセスにおいて細胞に遺伝子を導入する効率を高め、遺伝子治療薬の生産性を従来比約100倍に向上させる業界初の連続エレクトロポレーション技術を確立。堀場製作所が同技術の実装を担い、2026年以降の装置発売を目指していく。
両社は長らく、ライフサイエンスや半導体などの幅広い分野で交流を深めており、製薬プロセスの生産性向上を目的に堀場製作所のセンシング技術を用いた共同研究を行うなど、様々な取り組みを進めてきている。
また両社は、今後の成長が期待される遺伝子治療薬の製造における課題解決に向け、23年から、遺伝子導入装置(連続エレクトロポレーション装置)の開発に向けた共同プロジェクトを開始している。
培養した細胞に遺伝子を導入する遺伝子治療薬の製造において、遺伝子の導入効率を高めることが生産性の向上に極めて重要となる。
今回開発に用いた連続エレクトロポレーション技術は、制御された電圧により、細胞の膜にごく小さな穴をあけ、遺伝子を直接注入できる方法であるため、細胞への遺伝子導入を高効率で実現できる特長がある。さらに、連続フローシステムであることから生産量を調整でき、少量から大量までの製造に対応できる。
これにより、連続エレクトロポレーション装置は、従来法のバッチ処理に比べ、約100倍の生産性で遺伝子治療薬の製造が可能です。同装置の実用化することによって、遺伝子治療薬の生産性向上および製造コストの低減に大きく貢献することができる。
富士フイルムライフサイエンス戦略本部長の飯田年久氏は、「今回実装された連続エレクトロポレーション技術は、遺伝子導入効率の向上や製造コスト低減という課題解決を可能にしている。わが社は、これまで培ってきた自社技術と堀場製作所の優れた製造ノウハウの融合により開発された同装置を通じ、より多くの顧客に遺伝子治療薬が届けられる未来を目指すと共に、イノベーションを通じ、人々の健康と医療の発展に貢献していく」とコメントしている。
また、堀場製作所社長の足立正之氏は、「今後の事業拡大には『バイオ・ヘルスケア』分野の成長が不可欠。自動車・半導体といった大量生産を行う製造プロセス効率化に貢献してきた分析・計測技術とデータマネジメント力、そしてグローバルサポート体制を活用し、総力を挙げて本装置の実用化に取り組み、より多くの人々の健康や豊かな暮らしに貢献していきたい」と述べている。
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