【名城大/三重大/ウシオ/日本製鋼所】UV-B半導体レーザーの室温連続発振‐安価なサファイア基板上を用い達成

2026年01月19日 (月)

 名城大学理工学部材料機能工学科の岩谷素顕教授らと三重大学大学院工学研究科の三宅秀人教授、ウシオ、日本製鋼所の研究グループはこのほど、深紫外(UV-B:280?320nm)領域の半導体レーザーにおいて、世界で初めて、安価なサファイア基板を用いて、医療に最適な300~320nm帯域での室温連続発振(CW)を実証した。基板には低コストで量産性に優れるサファイア基板を使用しており、医療機器・産業用途への普及を大きく前進させる画期的成果といえる。

 紫外線の中でも UV-Bの 300~320nm波長帯は、生体分子との光化学反応を引き起こす高い光子エネルギーを持ちながら、DNAを直接破壊しにくいという特性から、皮膚疾患治療や血管内治療などの医療応用において重要な波長帯として注目されている。

 ただ、エキシマランプやLED光源は、大型で抵抗率、かつ波長選択性に制限があること、半導体レーザーではAlGaN材料によるレーザー形成には格子の歪みや放熱などの技術的な障壁が多く、特に安価なサファイア基板上での実現は困難だった。

 そこで、同研究グループは今回、これらの課題を克服し、医療応用に適したUV-Bレーザーの実用化に向けた基盤技術の確立に取り組んだ。

 まず、サファイア基板上にナノピラーを形成することで結晶歪みを緩和し、高品質なAlGaNテンプレートの作製に成功した。次に、このテンプレートの上に屈折率コントラストを利用したリッジ導波路構造を採用し、横方向の光閉じ込めと低しきい値動作の両立を実現した。また、鏡面損失を低減するためにSiO2/Ta2O5多層膜からなる高反射DBRを両端面に形成し、熱拡散性を向上させるためにジャンクションダウン方式でAlNサブマウントに実装した。

 その結果、318nmにおいてCWを安定して実現し、しきい値電流密度4.3kA/cm2、しきい値電流64mAという優れた動作特性を示しました。この成果は、低コスト基板を用いたUV-Bレーザー開発の大きな転換点となる可能性がある。

 今後は、実装技術やデバイス構造の最適化により熱抵抗と電極抵抗のさらなる低減を図ることで、安定的な高出力室温連続発振(CW)動作の実現が期待される。また、波長可変性を臨床的に需要の高い308~311nm帯へ高めることで、皮膚疾患治療用の光源としての応用も見込まれる。

 加えて、光カテーテル治療や蛋白質活性制御、微細加工などへの応用拡大も視野に入っており、量産性に優れたサファイア基板を用いることで、将来的には安価で普及性の高い医療・産業用レーザー市場の創出が期待される。今回の研究は、日本発の深紫外レーザー技術を国際標準へ押し上げる重要なステップとなることが期待される。

 なお、この研究成果は、12日にAIP「Applied Physics Letters」(https://doi.org/10.1063/5.0307059)に掲載され、Featured Article(注目論文)として高く評価されている。


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