健康、医療、福祉に関わる専門職種と生活者で構成するセルフメディケーション推進協議会」( S M AC)は15、16の両日、八王子市で「第9回日本セルフメディケーション学会」を開催した。今回は「地域コミュニティのセルフメディケーション支援」がテーマで、関連職種による日ごろの活動を含めた活発な発表・討論が行われた。
SMACは2002年に発足し、日本薬剤師会、日本OTC医薬品協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本生活習慣病予防協会をはじめとした団体・企業からの協力も得て、NPO法人として、純粋に国民のためのセルフメディケーション推進に向けた教育制度や法整備、情報提供などを、専門職種を超えて生活者の視点で調査・検討を行ってきた。成果は学術フォーラムや会報等を通じて内外に発表しており、その重要な活動の一つが毎年秋に開いている学会である。
そのSMACの活動に、新たな一面を与えたといえるのが、3月の東日本大震災だ。震災直後から、メンバーの多くが被災地への医薬品搬送などに関わっていたが、SMACでは村田正弘専務理事が中心となり独自の救援対策委員会を5月に立ち上げた。そして、被災地だけでなく首都圏の避難所におけるセルフメディケーション、疾患予防も重要だとして、「SMAC健康支援隊」が結成された。
SMAC健康支援隊は、SMACの理事や会員有志のほか、この活動に賛同する薬剤師や看護師、保健師、健康運動指導士、介護福祉士、薬学生(3年生以上)、看護学生(2年生以上)らがボランティアとして参加している。主な活動内容は、セルフメディケーションと健康管理の説明、室内での健康運動の実践指導、OTC薬も含めた医薬品の相談、衛生管理についての相談など多岐にわたる。
健康支援隊は夏以降も、福島県からの避難者が居住する都内の公務員宿舎で引き続き活動を続けている。今回の学会では、被災地を含めたこれまでの避難施設での活動が紹介されたが、「当初は1~2回の会合や話しかけでは、なかなか口を開いてもらえなかった」という。スタッフも熱心な活動を続け、住民側も避難所に自治会組織ができるなど、徐々に心のゆとりも生じていったこともあり、居住者との接点が増え、信頼が得られていった。最近では、定期的に活動を継続してほしいとの声も聞かれるそうだ。
さらにSMACでは、「健康面に関する不安を和らげ、病気にならないよう励ます活動に力を入れたい。日常の外来診療での経験を健康維持管理に生かせる看護師、保健師に、ぜひ参加してほしい」として、今週末からボランティア対象のセミナーも開催する予定。こうした健康支援隊の活動からは、改めて「セルフメディケーションは、多くの専門職の連携があってこそ実現できる」ことを感じさせてくれる。