調剤金額が2005年度(05年3月006年2月調剤分)に初めて4兆円台を達成した。日本薬剤師会がこのほど集計した「保険調剤の動向」(速報値)によると、処方せん受取率(医薬分業率)は54.1%で、前年度より0.3ポイントの増加であった。調剤件数は4億4778万3865件(前年度比6.3%増)、応需処方せん枚数は6億4507万5260枚(4.2%増)、調剤金額は4兆3976億2997万円(10.0%増)となり、件数や枚数に比べ、調剤点数の増加が際だつ傾向が続いている。
日薬は分業率の算出に当たって、05年度分からベースとなる投薬率の見直しを行った。04年度分まで医科63.7%、歯科11.3%で計算していたが、05年度分は医科65.9%、歯科10.8%に変更されている。
05年度は医科の投薬患者数が04年度より2.2%多くなっているため、04年度と同様の計算式で分業率を算出した場合には、54.1%よりも2ポイント程度高い数字になるとみられる。分業率の伸びが、05年度に0.3ポイントと低い水準にとどまったのは、投薬率の見直しも理由の一つと考えられる。
分業率70%台は、秋田を筆頭に、佐賀、神奈川の3県。60%台は新潟、宮城、沖縄、東京、宮崎、北海道、千葉、青森、岩手、福岡の10都道県であった。
これに対し分業率の低い地域は、20%台が福井、和歌山の両県。30%台は京都、石川、富山など8府県である。
実際に取り扱った処方せん枚数を多い順にみると、最も多いのは東京都で8003万枚。次いで神奈川、大阪、福岡、埼玉、愛知、北海道、兵庫、千葉、静岡、広島、新潟、宮城、茨城、福島、熊本、鹿児島と続き、1000万枚以上は17都道府県に上った。
このうち神奈川、宮城、東京、北海道、千葉、新潟、福岡などは分業率もかなり高い水準にあり、今後、処方せん枚数の大幅な増加は見込みにくい。その一方で大阪は分業率がまだ38.6%であり、分業の進展と共に、処方せん枚数も東京、神奈川並に増加していくとみられる。
また、1請求薬局当たりの処方せん枚数は、全国平均で1万4188枚であった。最も多いのは青森で1万8155枚。以下神奈川、秋田、島根、長崎、宮崎、熊本、北海道、埼玉、東京、千葉、兵庫と続いている。一方、1万枚に達していないのは福井、和歌山、石川の3県。
処方せん1枚当たりの金額は、全国平均が6817円であり、前年度の6457円に比べ360円、5.6%伸びた。これは長期処方の増加が、一つの大きな要因と推定される。最も高いのは石川で9150円。以下、京都、福井と続いているが、いずれも分業率の低い府県であることから、比較的単価の高い基幹病院などからの処方せん割合が高いためと考えられる。最も金額が低いのは佐賀の5490円で、同県を含む九州・沖縄地区は全県で平均値を下回っている。