2024年が幕を開けたが、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の流行拡大と共に年を越えて新年を迎えるという時期を過ごした。しかし、昨年には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けも第5類へと変わり、行動制限等も緩和された。社会経済活動においては人流も回復し、年末年始の各種イベントは盛り上がりを見せ、帰省ラッシュの混雑ぶりなどからも、コロナ禍以前の賑わいが戻ってきたように思う。
こうした中で、ドラッグストア業界は順調に店舗数を拡大するなど成長を続けていると言えよう。ドラッグストアの成長を牽引している要因の一つに調剤分野があるが、多くのドラッグストア企業で調剤の売上高は堅調に推移している。実際に、主なドラッグストア企業の24年2~5月期中間決算を見ると、調剤分野の好調などによって増収増益を達成した企業が多く見られた。
今期の通期売上高予想では、既に通期売上高で1兆円超えを達成しているウエルシアホールディングスが1兆2300億円との見込みを示している。これに加えて今期は、ツルハホールディングス(1兆0330億円)とマツキヨココカラ&カンパニー(1兆0300億円)において通期売上高が1兆円を超える予想となっており、ドラッグストア業界では売上高1兆円を超える企業が複数誕生する見通しとなっている。
一方、全国の総売上高に関して、22年度のドラッグストア実態調査の結果では8兆7134億円という状況だ。00年の調査開始以来、成長を続けているが、今回の前年比伸び率が2.0%増だったことから、近年と比べて伸びが減速したとの見方もある。
同調査では、急拡大した予防関連・在宅商品の販売増の反動や外出自粛による装い商品の買い控えの継続がカテゴリー別の売上推移に表れているなどの分析結果が示された。
ドラッグストア業界および日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では、かねて“2025年の10兆円産業化”を目標に掲げている。目標に向かっての軌道について、JACDSは1店舗当たりの売上高が順調に伸びていること、調剤の売上高の比率が高まっていること、食品の取り扱い比率が拡大し、さらに伸びていることなどを挙げた上で、「ほぼ順調な軌道に乗っている」との考えを強調している。
ドラッグストア業界を牽引し続いているJACDSは今年、設立25周年という節目を迎える。コロナ禍における取り組みで地域からの信頼を得て期待される業態となったドラッグストアだが、今後、さらなる機能強化に取り組む姿勢を鮮明に打ち出している。
25周年を一つの節目として、次の時代へ邁進するドラッグストア業界への注目が今年はさらに高まる1年になるだろう。